第58話 大好きな気持ち

 いつもとは違う刺激、いや、いつも以上の刺激の数々に、僕は意識が飛びそうだった。


 ゆかりちゃんよりも巨大な胸に捕まって。


 麗美ちゃんよりもえげつない足技で蹂躙されて。


 和沙ちゃんよりも情緒的な手付きで整えられて。


 あの3人と同じく、みんな我が強くて、いがみ合っているのかと思ったけど。


 ふたを開けてみれば、それぞれの役割分担があって、それが流れるように進んで……


 こんなこと言うのもなんだけど、ビッチームと名乗るだけあって……テクに関しては、あの3人よりも上だった。


 ハッキリ言って、気持ち良かった。


「「「はぁ、はぁ、はぁ……」」」


 けど、そんな彼女たちさえも、僕はヘトヘトにさせてしまった。


 本当にギリギリの戦いだったけど。


「……ま、まーちゃんの、すごい」


「……く、悔しいけど、真尋に完敗だわ」


「……お、お見事でした、真尋くん」


 広いリビングで横たわる彼女たちを、僕は立って息を乱しながら、見下ろしていた。


「さてと、じゃあ最後は真打ちのコハルが……」


「えっ、桜田さん、さすがにそれは……」


 僕がギョッとして言うと、


「写真」


「うっ……で、でも……」


「じゃあ、こうしよう。今から、あたしとのバトルに勝てば、写真はデータまるごと、消してあげる。けど、もし綿貫きゅんが負けたら……」


 ゴクリ、と息を呑む。


「もう2度と、あの3人とはエッチしないで♪」


「えっ……」


「そして、コハルたちの専属になってよ。この3人がここまで満足するなんて、やっぱり綿貫きゅんはすごいし。ぶっちゃけ、あの3人よりも、この3人の方がテク上でしょ?」


「そ、それは……」


 僕は言葉に詰まってしまう。


 桜田さんは、それを肯定と受け取ったようだ。


「さてと、じゃあ早速、始めようか」


 僕の心の準備が整わないまま、桜田さんは服を脱ぐ。


 どうしよう、と僕がまだ二の足を踏んでいた時、スマホが光っていることに気が付く。


「あ、ちょっとごめん」


 僕はサッとスマホを持って、届いたメッセを確認する。


 すると、僕は目を丸くした。


 しばし、そのメッセを見た後、そっとテーブルに置く。


「……分かったよ、桜田さん」


「おっ、やる気になった?」


「うん。僕がこれから、君に勝ったら、ちゃんとデータは消してくれるね?」


「もちろん。その代わり、君が負けたら……」


「僕は負けないよ」


「おやっ? 綿貫きゅん、珍しく強気っていうか……何か燃えている?」


 問われて、僕は口元で小さく笑う。


「確かに、君たちのテクは、あの3人よりも凄いかもしれないけど……」


 僕は拳を握り締める。


「でも、あの3人とエッチする方が、心が満たされるんだ」


 そう言い放つと、桜田さんはハッと目を見開いた。


 そして、口元で微笑む。


「ふーん、面白いじゃん。じゃあ、勝負しようか……純愛と快楽と、どっちが勝つのかをね」


「望む所だよ」




      ◇




 もう、足腰はガタガタだ。


 息が続かない。


 それでも、僕は止まらない。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 両手を膝に置いて、息を切らす。


 そして、家の門の前に佇む、3人を見た。


「まーくん……」


「真尋……」


「真尋くん……」


 3人は、少し驚いたような目で、僕を見ている。


「……ゆかりちゃん……麗美ちゃん……和沙ちゃん」


 僕は息を切らしながら、体を起こし、彼女たちを見た。


「前から、聞きたいことがあって……その、僕は君たちにとって、体だけの存在かな? 男の象徴が大きくて、それだけが目当ての男なのかな?」


 少しだけ、息が整って来た。


 ぼやけていた視界も、クリアになった。


 すると、3人の目が潤んでいることが、分かった。


「バカまーくん、そんな訳ないじゃん。確かに、まーくんのデカ◯ンは最高だけど……でも、それ以上に、まーくんのことが好きで好きで、たまらないの」


「そうよ、真尋。もうあなたは、私たちの心の中心なの」


「真尋くんがいなくなったら、死んじゃいます」


 3人の言葉に、僕もジワリと涙がこぼれる。


「……今から、エッチしよう」


「「「えっ?」」」


「さっきまで、すごいビッチ達を相手にしていて、足腰がガタガタだけど……」


「むっ、何だと~!」


「浮気男、許すまじ」


「コンパスでぶっ刺します」


「ご、ごめん……でも、おかげで気付いたんだ。やっぱり、僕には君たちしかいないって……」


 僕はまた拳を握り締める。


「僕も君たちのことが、大好きだから……」


 そういった直後、3人が抱き付いて来た。


「うわっ」


「……じゃあ、まーくん。今から朝まで死ぬほど、ラブラブちゅっちゅしよ?」


「良いわね、そうしましょう」


「みんなで、朝チュンを迎えましょう」


「いや、でも、明日は学校があるよ?」


「こら、まーくん。自分からその気にさせておいて、何を弱気なことを言ってんの」


「そうよ、学校なんてサボれば良いじゃない」


「良いですね、サボりましょう」


「み、みんな……」


 そのまま、僕は3人と一緒に家の中に入る。


 そして……


「ゆかりちゃん、麗美ちゃん、和沙ちゃん! みんな好きだ!! 大好きだあああああああああぁ!!!」


「まーくん、大しゅきいいいいいいいいぃ!」


「真尋、大好きいいいいいいいいいいいぃ!」


「真尋くん、大好きですうううううううぅ!」


 本当に朝までメチャクチャした。




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