第51話 京都ですから

 修学旅行、2日目、自由行動。


「わ~い! 京都だ、おいでやす~!」


「ゆかり、あまりハシャがないで」


「そう言う麗美さんも、顔が嬉しそうですよ」


「和沙たんもね~!」


 3人娘はきゃっきゃとしている。


 一方で、僕は……


「あれ? まーくん、どうしてそんなにテンション低いの?」


「いや、昨日の夜に散々、君たちに搾り取られたから……」


 この3人はいつものことだけど、それに加えて桜田さんという、超ビッチさんも加わっていたから。


 余計に、僕は搾り取られてしまったのだ。


 ていうか、よく先生にバレなかったなぁ……


「じゃあ、せっかくに自由行動だし、張り切って行こう~♪」


「「お~♪」」


 女子たちは元気だなぁ。


「で、最初はどこに行くんだっけ?」


「せっかく京都に来たんだから、衣装チェンジしましょう」


「良いですね。真尋くんも、一緒にですよ」


「えっ、僕も?」


「当然だよ~! ほら、みんな行こうぜ~!」




      ◇




 やって来たのは、京都のレンタル着物屋さん。


「お嬢さん、背は小さいのに、随分と胸が立派ね~。きつく締めちゃうけど、大丈夫?」


「大丈夫、気合で我慢するんで!」


「じゃあ、こんな感じで……」


「んあああああああああああぁん! ゆかりのおっぱい、ぎゅぎゅってされちゃううううううううううぅ!」


「ゆかり、うるさいわよ! お店の人に迷惑でしょうが!」


「京都の品性のカケラもありませんね」


「黙れよ、貧乳どもが」


「だから、私は貧乳じゃないって、言っているでしょうが! CかDくらいあるわよ!」


「ゆかりさん、そろそろ、本気で切り落としますよ? ちょうど、お店の中に刀もありますし」


「ごめんなさい、あれ模造刀もぞうとうだから、切れないのよ」


「そうですか、残念です」


「こら~! ひどいこと言うな~!」


 カーテン越しに、賑やかな会話が聞こえて来る。


 決して、和やかとは言えないけど……


 ちなみに、僕は一足先に着替えを済ませて、待っていた。


「よいしょ~! お待たせ~!」


 シャッ、と女子側のカーテンが開いた。


「お待たせ~!……おっ、まーくんがカッコ良くなっている!」


「いや、そんな……」


「武士だ! すごい、二刀流だね!」


「えっ? いや、刀は1本だけだよ?」


「ノンノン、体の中央に、もう1本すっごいのが♡」


 ベシッ。


「だから、上品な京都の空気を損なわないでくれるかしら?」


「てやんでい! いてーよ、バカ麗美ぃ!」


「何で江戸っ子口調なのよ! ここは京都だって言っているでしょうが!」


「全く、ゆかりさんも麗美さんも、品性がありませんね。そんな人は、京都の街を歩く資格がないので、わたしと真尋くんだけで行きますね」


「おい、コラ、和沙たん。ベッドの上ではテメェが1番下品な面を晒してんだろうが!」


「……模造刀でも、殴ることくらいは出来ますよね?」


「和沙ちゃん、落ち着いて」


「ほら、ゆかりも謝りなさい」


「ごめん、和沙たん。ベッドの上でも、和沙たんはクールなリケジョって顔しているよ」


「それはそれで、ちょっと怖いけどね」


「良いですよ、どうせ。ア◯顔さらしていますから」


「みんな、そろそろ店を出ようか」


 こうして、楽しい楽しい(?)、自由行動の時間が始まった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る