第42話 パーリナイ!

 体育館には、ぎっしりと人が押し寄せている。


「ああ、愛しのレイーミ! あたしを助けに来てくれたのね!」


「待っているんだ、ユカリン! 私は必ず、あなたを助ける!」


「ふふふ、そうは行きません。この魔女カズーサの名にかけて」


 3人とも、そんなお芝居の経験とかないだろうけど。


 何だかんだ、3大美女、トップオブトップカーストに入るような子たちだから。


 基本的にスペックが高いため、しっかりと演技をこなしている。


 見た目が良いのはもちろんだけど。


「ゆかりちゃーん!」


「麗美ちゃーん!」


「和沙ちゃーん!」


 客席から声援を受けながらも、しっかりと舞台を進めて行く。


「うっ……」


「これで、終わりだ」


「やった、勝った~!」


 そして、無事に演劇は終幕を迎えた。




      ◇




「いや~、それにしても楽しかったね~、文化祭」


「ええ、そうね」


「けど、最後のキスシーンは、もっと濃厚にして欲しかったです」


「それだと、先生にお叱りを受けちゃうから」


「そうそう。だいたい、麗美のお口臭いし」


「誰が臭いですってぇ!?」


 この3人のおかげで、我がクラスの演劇は大盛況、大成功に終わった。


 だから、当然クラスで打ち上げをしようと盛り上がった。


 そして、みんなでファミレスとかカラオケで盛り上がって、じゃあお疲れって帰宅する流れだったんだけど……


「……何で、3人とも僕の家にいるの?」


「「「えっ?」」」


「いや、そんな驚いたような目をされても……」


「だって、ここはあたしらの溜まり場じゃん」


「認めたくないけど……でも、さすがに時間が時間だし。みんなの親も心配しているでしょ?」


「大丈夫だよ~、友達の家にお泊りって言ったから♪」


「私もよ」


「わたしもです」


「まあ、実際には、かれぴだけど。レッツ、パコりタ~イム♪」


「いやいや、しないから。普通に疲れているし」


「え~、でもまーくん、大して何もしていないでしょ?」


「うぐっ……ま、まあ、大活躍だった君たちと比べるとね……」


「そうだよ~! だから、頑張ったあたし達にご褒美をくれないとね♪」


「確かに、ご褒美が欲しいわね」


「わたしも欲しいです」


「いや、そんなこと言われても……僕、本当に疲れているから。打ち上げとか、初めてまともに参加したし」


「でも、まーくん、ずっと隅っこの方にいたじゃん。陰キャ乙☆」


「ひ、ひどい……そうだよ、どうせ僕は陰キャだから、すぐに疲れちゃうんだよ」


「元気を出して、真尋。あなた、エッチの時はすごく元気じゃない」


「いやいや、麗美ちゃん。君たちにせがまれて、仕方なくだからね」


「でも、何だかんだ出来ちゃうのは、真尋くんの方もきちんと性欲が旺盛だからですよ」


「だよね~。真尋パパの遺伝じゃない? 性欲もチ◯コも」


「正直、あまり似ても嬉しくないけど」


「そうかな~? でも、そのおかげで、こんな素敵なハーレムが作れたんだよ?」


「まあ、確かに……所詮、僕はエッチ以外、取り柄がないから……」


「真尋くん、ネガティブになってはいけませんよ。わたしだって、勉強以外は大した取り柄はありませんから」


「でも、和沙ちゃんはすごく可愛いでしょ」


「あ、ありがとうございます」


「真尋、私は?」


「えっ? もちろん、麗美ちゃんもすごく可愛いよ」


「あたしは~?」


「ゆかりちゃんもだよ。ていうか、改めて考えると、僕ってすごい罪深い男だね……陰キャのくせに」


「ちゅっ♡」


 いきなり、キスをされた。


「……ゆ、ゆかりちゃん!?」


「せっかく文化祭が楽しく終わって、楽しいこのメンバーだけでの打ち上げなんだから、ネガティブ発言は禁止でーす。言ったら、キスして塞いじゃうぞ♡」


「あら、面白いじゃない、それ」


「と言う事は、真尋くんにネガ発言をさせれば、キス出来るってことですね」


「な、何だよ、それ。ていうか、3人の誰かがネガティブなことを言ったら、どうするの?」


「う~ん……みんな、まーくんが責任取って♡」


「えっ」


「あ、あたし、ちょっとお腹が痛いかも~」


「だ、大丈夫?」


「はい、キスして」


「って、何それ!?」


「はぁ~、立ちくらみが……もう、ダメだわ」


「麗美ちゃん、さっきからずっと座っているよね。いつもみたいに、女王様っぽく」


「……死にたいです、胸が小さくて」


「和沙ちゃん!?」


「はい、じゃあ、まーくんは3人ともにキスして~?」


「えぇ~……」


 僕はひどくうろたえながらも、仕方なく……


「ちゅっ♡」


「ちゅっ♡」


「ちゅっ♡」


 としてあげた。


「じゃあ、ディープキスしたいから、クソネガ発言しちゃおうかな~」


「ゆかりちゃん? あまり悪ノリはいけないよ?」


「はぁ~、背は伸びないのに、おっぱいばかりクソデカ育って。このままだと、破裂しちゃうよ~、うえ~ん!」


「おバカさん? それはただのクソ自慢じゃなくて?」


「あーら、麗美さん? 高貴な女王さまが、そんなクソクソ言っても良いのかしらね~?」


「黙りなさい、下等なビッチさん」


「何だとー!」


「ふぅ、この2人だけにピンポイントで隕石が落ちて、わたしと真尋くんだけのイチャラブタイムになって欲しいな~」


「こらー! 和沙、それただの願望だろうがー!」


「もう、最初のルールから逸脱しすぎ。何でもありじゃない」


「まあ、でも仕方ないね。今晩はパーリナイだから!」


「あの、あまり騒ぐとご近所に迷惑になるから……」


「よーし、明日は休みだし、朝までみんなでパコるぞ~!」


「「おー!」」


「えぇ~……」


 結局、いつも通りになりました。




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