第32話 嫁力選手権①

「ほ~ん。じゃあ、みんなもう、真尋としこたまエッチしているんだなぁ~」


 リビングのソファーにどかっと座った父さんは、ビールのジョッキを片手に言う。


 母さんとラブホで致しまくって来たのだろう。


 ただでさえツヤツヤの肌がさらに度合いを増してちょっと眩しいくらいだ。


「「「はい、そうで~す♪」」」


 みんなアピールするためか、いつもより確実にブリッコになっている。


「良いな~、真尋ぉ。俺も学生時代はハーレムを築いていたんだよ。人数は俺の方が多かったけど、ぶっちゃけ質はお前のハーレムの方が高いな。しかも、3人ともタイプがそれぞれ違うと来た」


 父さんはニヤつきながら言う。


「そりゃどうも」


「ちなみにですけど~、まーくんパパの好みのタイプで言うと、この中で誰が一番ですか~?」


「あ、それ私も気になります」


「正直のお答えください」


「え~、おじさん迷っちゃうな~」


「父さん、あまり鼻の下ばかり伸ばしていると、母さんに怒られるよ」


「何だよ、真尋。もしかして、嫉妬してんのか?」


「そ、それは……まあ、少しだけ」


「え~! まーくんが嫉妬なんて、珍しい~!」


「やっぱり、男の子ね。父親には負けたくないんだわ」


「でも今の所、アレの大きさはわずかにお父さんの方に軍配が……」


「いや~、確かに年長者な分、俺の方がまだデカいけど。すっかり、柔らかくなっちまったからな~。そうだろ、ワイフ?」


「大丈夫よ。その分、私がきつく抱き締めてあげるから」


「ひゅ~♪」


 この夫婦は、いくつになっても血気盛んというか。


 まあその反動で、僕がこんな陰キャになったと言っても過言じゃない。


「ていうか、アレだな。今の君たちの問いに対する答えだけど」


 父さんはビールをぐいと煽ってから口を開く。


「実際に息子の嫁として、一緒に過ごしてみないと分からないな」


「「「嫁として?」」」


「そう。明日から1人ずつ、家においでよ。で、1日この家についだ女として、色々とがんばってくれたまえ」


「いや、父さん。いきなりそんなこと言われても……」


「「「やります!」」」


「ほら、彼女たちはやる気だぜ?」


「えぇ~……」




     ◇




 ピンポーン、と玄関チャイムが鳴る。


 ドアを開くと……


「ただいま~♪」


 笑顔が弾けるゆかりちゃんがいた。


「な、何か、いつも以上に気合の入った格好だね」


 もうバリバリのギャルファッションで、胸もいつも以上に放り出しそうな勢いだ。


「お~、来たか。ゆかりちゃんは本当に、ちっこいくせにデカ乳だな~。ちょっと揉ませてくれね?」


 父さんが後ろからやって来て言う。


「やだもう、まーくんパパってば~♡ これは愛する夫だけのモノです♡」


「ちっ、真尋は良いな~。この乳を揉んで吸いまくりだなんて」


「父さん、初っ端からやめてくれよ!」


「分かったよ。とりあえず、リビングに行こうか。ゆかりちゃん、くつろいでくれよ」


「いえいえ、あたしはデキる嫁ですから。何でも家事をこなします」


「え、ゆかりちゃん、いつもグータラしているイメージなのに、家事なんて……」


「まーくん、黙れ☆」


「むぐっ!?」


 思い切り巨乳で顔をホールドされた。


「ハハハ、真尋。男は女の乳に弱い運命さだめだ。それがデカければデカいほど、な」


「むぐぐ……!」


 僕は早く解放されたくて、必死にタップした。


 タプン、タプン♪


「やんっ♡」


「あっ」


「おー、やるな、真尋ぉ!」


「いや、勝手にエキサイトしないでくれる?」




      ◇




「ゆかりちゃん、いっきまーす!」


 ウィーン、ガーガー。


 ちょっと騒がしいけど、意外とゆかりちゃんは着実に家事をこなして行く。


「ゆかりちゃーん、次はお皿を洗ってくれるかしら?」


「はーい、まーくんママ~♪」


 ゆかりちゃんはノリ良くそちらに向かう。


「よーし、こっちも気合を入れてやるぜ~!」


「ゆかりちゃん、そんな気合とかいらないから。お皿を割らないように気を付けてね」


「もう、まーくんは亭主さまなんだから、ドーンと構えていてよ」


「あ、うん」


 とは言え、心配だからゆかりちゃんの様子を見守ってしまう。


「あわあわ、しゅわしゅわ♡」


 あわあわはともかく、しゅわしゅわがよく分からん。


 でも、ちゃんと洗っているな。


 これなら任せても……


「……あっ」


 ゆかりちゃんは、楽しそうにルンルンと皿を洗っている。


 問題なく洗えているけど……洗剤が思い切り胸につきまくりだった。


 デカすぎるから……にしても、不用心すぎる。


「ゆ、ゆかりちゃん、胸が汚れているよ」


「ほえっ?……わぁ!」


「続きは僕がやっておくから、シャワーを浴びておいでよ」


「う~ん……じゃあ、せっかくだし、一緒に入ろうよ♡」


「えっ? いや、僕は別に汚れていないし、まだ夜にもなっていないし……」


「じゃあ、俺と一緒に入るか。背中を流してくれよ、ゆかりちゃん」


「え~、どうしようかな~?」


「って、父さん!?」


「真尋、お前がいらないなら、俺がいただくぜ? この子のデカ乳を」


「この性欲魔人め……海外出張先で、浮気とかしてないよね?」


「ひゅ~ひゅ~♪」


 このクソ親父……


「ごめんなさい、まーくんパパ。お風呂から上がったら、肩揉みくらいならしてあげます」


「ていうか、そのデカ乳だとむしろ肩が凝るだろうから、俺が揉んであげて……」


「はいはい、シャワーを浴びに行こうか」


 話のキリがないので、僕はゆかりちゃんを連れて風呂場に向かう。


 脱衣所に入ると、ゆかりちゃんは遠慮なくポイポイと服を脱ぐ。


「あれ、まーくん脱がないの?」


「いや、僕はここで待っているから」


「え~、そんなの寂しいよ~!」


 まっぱのゆかりちゃんに抱き付かれ、じゃれつかれる。


 直だとますます巨乳の威力が凄まじい。


「わ、分かったから!」


 僕は暴れるゆかりちゃんをなだめて、仕方なく服を脱ぐ。


「よーし、レッツ、お風呂タイム♪」


「元気が良いな~……」


 僕はすでに、フラフラ状態です。




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