第21話 ハーレムの主も楽ではない
他に誰も居ないリビングで……
「……んっ、あっ」
艶めかしい吐息が漏れていた。
「
「れ、
「あはん、ごめんね……けど、大好きな真尋と一緒に居ると、おかしくなっちゃって……んはッ!」
さっきから、彼女の体はビクビクと小刻みに震えている。
「麗美ちゃん、やっぱり、そろそろ……」
「うん、分かった……その代わり、最後は思い切り強く……お願い」
僕は正直、ちょっと気が引けつつも、リクエストされてしまったので……
ググッ、と強く押し込んだ。
「こ、こうかな?」
すると――
「――あはああああああああああああぁ~ん!」
麗美ちゃんの声が、どこまでも響き渡って行った。
「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
ソファーにうつ伏せ状態の彼女は、吐息を荒げていた。
白くきれいな肌には、汗の玉が浮かんでいた。
「今日も気持ち良すぎたわ……真尋のマッサージ♡」
「あはは……」
僕は苦笑する。
マッサージする分には構わないんだけど、いつもこんな風に激しく声を上げられたら……
「……じゃあ、体も温まったことだし。そろそろ、本番エッチしましょうか」
「えっ?」
「
「れ、麗美ちゃん……」
その後、いつも通りにコッテリ搾られた。
◇
池戸高校2年A組の教室にて……
「麗美さ~ん、また何か肌がツヤツヤじゃありませんこと~?」
「あら、分かっちゃう~?」
「その余裕の笑顔、ムカつくんですけど?」
「だって、私が真尋の彼女だから♡」
「いやいや、あたしがまーくんの彼女だから」
睨み合う麗美とゆかりを傍から見ていた和沙が、
「ビッチ2人が何か言っていますね」
「ちょっ、和沙。ビッチなのはゆかりだけでしょ?」
「いやいや~、麗美さんには負けますよ~」
「ムカつく女ね~」
そんな風に言い合う3人を遠目から見ている男子たちは、
「「「ええな~」」」
3人の会話の聞こえていないが、前以上に表情と動きが豊かになっていることで、興奮しているのだ。
悲しいことに、この三大美女がすでにとある冴えない男にみんな落とされていることを、彼らはまだ知らない。
◇
放課後。
僕の家にて……
「まーくん、ジュースおかわり♡」
「わたしもお願いします」
「はいはい」
ゆかりちゃんと和沙ちゃんが遊びに来ていた。
ちなみに、麗美ちゃんはモデルの仕事のため、来られないそうだ。
「麗美のやつ、ざまぁ~。今ごろ、歯を食いしばって悔しがっているんだろうな~」
ゆかりちゃんがニヤつきながら言う。
「ところで、まーくん」
「え、何?」
「おっぱい揉んで♡」
「また唐突だな……肩揉みなら良いけど」
「確かに、巨乳のあたしは肩も凝っているけど……それじゃ物足りないのだ~!」
ポカポカと、僕の方が叩かれてしまう。
「いたっ、やめてよっ」
「ならば、おっぱいで殴ってやろうか?」
「もっとやめて下さい」
僕が困っていると、
「では、真尋くん。わたしの肩を揉んでもらえますか? 私はゆかりさんほど胸が大きくないですけど……いつも勉強をがんばっているので、肩が凝るんです」
「ああ、うん。分かったよ」
僕は和沙ちゃんの背後に回ると、肩を揉み始めた。
「あっ、あっ……真尋くん、上手です」
「痛くない?」
「むしろ、もっと痛くして下さい」
「えっと……これくらい?」
「んはッ! き、気持ち良い……」
和沙ちゃんが何だか色っぽい声を漏らす。
「……って、あたしを差し置いてエッチなことしてんじゃねええええええええぇ!」
ボイン!
「うぐっ!?」
背後から、おっぱいでタックルされた。
本当に便利なおっぱいだことで……
「ゆかりちゃん、いきなり攻撃するのはやめてよ」
「でも、気持ち良いからいいっしょ? あたしのおっぱい」
「まあ、痛くはないけど……」
「つー訳で、そろそろあたしのパイオツ揉みなよ~♪」
「パイオツって……」
僕は迷った。
正直、この巨乳は何度も揉んでいるけど。
和沙ちゃんが見ている前だと、何だか照れ臭い。
「ゆかりちゃん、手で直接じゃなくても良い?」
「およっ? どういうことだい?」
「和沙ちゃん、ちょっとペンを貸してくれる?」
「はい、どうぞ」
和沙ちゃんはシャーペンを貸してくれた。
「ま、まーくん、まさか、それで……」
「痛かったら、すぐにやめるから」
僕はシャーペンを構える。
「ま、まーくん、最初は怖いから、先っちょだけだよ?」
「うん、分かった……先っちょだけね」
「何か、言い方が嫌らしいような……」
和沙ちゃんの静かなツッコミを脇に置いておいて、僕はなるべく優しく、ゆかりちゃんの胸をシャーペンで突いた。
「あんッ♡」
「ど、どう?」
「やば、これちょっと良いかも。もっと強くしても良いよ」
「えっと……これくらい?」
「お、奥まで来たぁ~ん!」
ゆかりちゃんが仰け反って身悶えする。
「こ、声が大きいって!」
「おっぱいも大きいしね」
「上手いこと言ってないよ。ほら、もうこれくらいで良いでしょ?」
「え~! もう終わりとか、どんだけ◯漏なんだよ~!」
「言葉を慎んでよ……」
僕はガクリと肩を落とす。
「まーくん、早くぅ~! もっとズボズボして~!」
「だから、言い方……はぁ~、分かったよ」
僕は仕方なく、もう少しだけゆかりちゃんの胸をシャーペンで突いてあげる。
「あんあぁ~ん♡ まーくん、らめ~♡」
しばらくして、ゆかりちゃんは息を乱して、ソファーにぐったりともたれかかった。
「はぁ、はぁ……たまにはこういうプレイも悪くないね」
「いや、そんなつもりは……」
「でも、確かに嫌らしかったです。次はわたしにもやって欲しいです」
「か、和沙ちゃんまで、勘弁してよ……」
2人にせがまれて、僕がすっかり弱っていた時。
「真尋ぉ~♡ 来たわよ~♡」
玄関先から、声が響いて来た。
「げっ、面倒な女が来たよ」
ゆかりちゃんが露骨に顔を歪めた。
何だか、僕のせいで2人の関係が悪化しているような……
「ゆかり~? 聞こえているわよ~? 誰が面倒な女ですって~?」
リビングに入って来るなり、麗美ちゃんは笑顔で怒りを表現した。
「え~、そんなこと言ってないよ~? 神さま、仏さま、麗美さまってね♪」
「全く、適当なこと言っちゃって」
麗美ちゃんは肩をすくめて言う。
「まあ、それはさて置き……ゆかり、和沙」
「ほえっ?」
「何ですか?」
「私たちは親友であり、真尋を争うライバル同士……だけど、そんな乙女の戦争は一時休戦しましょう」
「なして?」
「ふふふ、ちょっと耳を貸しなさい」
麗美ちゃんは2人に手招きをして言う。
女子同士でコソコソ話をしている間、何だか僕はソワソワと落ち着かなかった。
「……ああ、なーるほろ」
「それは確かに、大事なイベントですね」
「でしょ? だから、一時休戦協定、オーケーよね?」
「仕方ないな~」
「必要なことですね」
何だか、女子同士で勝手にやりとりが進んでいるけど……
「あの、一体どういうことなの?」
僕が尋ねると、麗美ちゃんがニコリと振り向く。
「ナ・イ・ショ♡」
唇に指を添えて、ものすごく可愛い感じで言われてしまう。
そうなると、僕は何も聞き返せない。
「ていうか、2人はもう真尋とエッチなことしたの?」
「まあ、したと言えば、したかな?」
「ですね」
「じゃあ、今度は私の番ね、真尋?」
「えっ? いや、エッチなことって言っても、本番のエッチをした訳じゃ……」
「私、お仕事で疲れているから……いっぱい癒して♡」
「いや、だったら、むしろゆっくりお休みになった方が……」
「つべこべ言わないの」
鼻をギュッとつままれる。
「むがが!?」
「でたー! ドSな女王・麗美さま~!」
「やっぱり、迫力が違います」
「ありがとう、2人とも。けど、ちょっと黙っていてちょうだい」
「あ、あの、麗美ちゃん……」
「真尋も、お黙りなさい♡」
「えぇ~……」
こうして、僕は今日も今日とて、搾り取られる。
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