番外編 麗美

 女子高生でモデルをやっているなんて、みんなから憧れの目を向けられる。


 けど、その楽しさ以上に、辛さの方が多いかもしれない。


 あくまでも、仕事だから。


 自分の美貌には自信があるけど、それでも現場のカメラマンさんに怒られたりもする。


『麗美ちゃん、もっと素直に笑ってよ~』


『ごめんなさい』


 私は昔から周りの子よりも大人びていたから、演技は上手だった。


 だから、モデルとして表情を作るのが最初から上手だったけど。


 それだけで通じるほど、甘い世界じゃない。


『う~ん、麗美ちゃん、素材は抜群なんだけどな~』


 首を捻って納得がいかなそうなカメラマンさんの顔を見ていると、いつも悔しかった。


『麗美、ドンマイ』


 そんな時、同じモデルであり、また彼氏だった陸斗が慰めてくれた。


『ありがとう』


 けど、そこまで気分は晴れやかにならなかった。


 彼はモデルをやるだけあってイケメンで、私にとって申し分ない彼氏だけど……


 その後、彼とはいざこざがあって、別れた。


 そんな私が、次に付き合うことになったのが、真尋。


 2年生で同じクラスになって初めて話した時から、冴えない男だと思っていた。


 性格は良くて、可愛い所がある子だけど。


 所詮は、家を溜まり場にされる情けない男だから。


 友達にはなっても、恋人にはならないと思っていた。


 あり得ないと思っていた……


『……あ、あり得ない』


 彼と初めてエッチをした時、私はそう声を漏らした。


 まさか、あのひ弱な真尋が、こんなにすごいエッチをするなんて。


 正直、元カレの100倍すごくて気持ち良かったと言っても過言ではない。


 初めてエッチをして以来、私はますます彼の魅力にハマった。


 そして、彼と付き合うことになった。


 それ以来、モデルの仕事が好調で……


『麗美ちゃん、その表情すごく良いよ~!』


『本当ですか? ありがとうございます』


 撮影中、大好きな真尋のことを考えると、それだけで自然と笑えちゃう。


 今までみたいに作りものじゃない。


 作りもの……真尋と、子作りはしたいかも。


『麗美ちゃん、それはちょっとエロすぎ』


 てへっ。


 とにかく、私と真尋の甘々カップル生活が始まったのだけど……


 その後、すぐに親友のゆかりと和沙も彼の魅力に同じくハマって、ハーレム状態になってしまった。


 けど、それでも、私が正妻なんだからね!


「んっ、ちゅっ、あっ……」


 私は真尋と積極的に舌を絡める、大人のキスをしていた。


 ゆかりは子供っぽいし、和沙はまだ処女に毛が生えた程度。


 だから、ここは大人の私が、しっかりリードして差をつけておかないと。


「……どう、真尋? 私のキス、気持ち良い?」


「う、うん。何か、すごく良い匂いがするし」


「真尋が前に好きって言ってくれた香水、つけて来たの」


「それもそうなんだろうけど……麗美ちゃん自身から、すごく良い匂いがすると言うか……」


「だとしたらそれは、真尋のおかげよ」


「僕の?」


「そう。女は、本当に好きな男を前にした時、誘惑するためにフェロモンを発するから……その匂いよ」


「へ、へぇ~」


「ねえ、真尋。もっとキスしよ。何なら、おっぱいも揉む?」


「じゃ、じゃあ、揉みながら……」


「良いわよ……あんっ、上手っ……」


 その後、彼の顔に似合わない巧みなテクで、しっかりと準備をしてもらってから……


「……来て、真尋」


「うん。行くよ、麗美ちゃん……!」


 もう繋がった瞬間から、天国に行きっぱなしだった。




      ◇




 事を終えた後、腕枕をしてもらう。


 そんなにマッチョじゃない彼だけど、やっぱり男の子なんだなって思う。


 意外と筋肉質で、ドキドキしちゃう。


「ねえ、真尋。私、ジムに通っているんだけど」


「え、そうなの?」


「うん、モデルは体型維持が大事だから」


「へぇ~、やっぱりすごいんだね~」


「うん。今度、真尋も一緒にどう?」


「えっ? でも、お金が……」


「私のおごりよ♡」


「いや、そんな……」


「その代わり、いっぱい鍛えて、今よりもさらに素敵になって……いっぱい、気持ち良くしてね?」


「やっぱり、それが狙いですか」


 真尋は苦笑する。


 けど、私はそんな彼に甘える。


「ねえ、もう1回シよ?」




 Fin




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