第16話 ギシギシからのギスギス

 放課後。


「ゆかりさん、麗美さん、私は先に帰りますね」


「あれ、和沙たん。一緒にまーくんとこ、来ないの?」


「はい。明日、彼氏とデートなので。その準備を……」


「え~、何それ~! 超イジらしいんですけど~!」


「お洋服とか選ぶの? だったら、付き合いましょうか?」


「ありがとうございます。けど、それはもう準備してあるので。後はプランの確認などを……」


「さすが、和沙たんはマジメで可愛いな~」


「というか、プランなんて男に任せちゃいなさいよ。和沙はお姫様気分でいなさい」


「麗美は女王様だけどね」


「何ですって~?」


 またゆかりと麗美がケンカをする。


 ここ最近、この2人がケンカすることが多くなった気がする。


 なぜだろうか?


「では、お先に失礼します」


「あ、またね~、和沙たん!」


「また明日ね」


「はい」


 笑顔の2人に見送られて、和沙は教室を出た。




      ◇




 ちょっと、ジムに通って体力を付けた方が良いのかもしれない。


「「「はぁ~、はぁ~、はぁ~……」」」


 僕の家にリビングは、むわっとした熱気が漂う。


 レースカーテンを引いた状態で窓を開けていた。


 そして、床には僕とゆかりちゃんと麗美ちゃんの3人が寝転がっている。


 というか、汗だくでくたばっていた。


「や、やっぱり、まーくんのち◯ぽヤバいわ。元かれぴの3倍、5倍……いや、100倍すごいかも」


「さすがにそれは言い過ぎでしょ……でも、確かに気持ち良すぎて、100回くらい昇天したわ」


「そ、そうですか……」


 僕らは寝転がったまま、言葉を交わす。


 ていうか、マジで体力が持たない。


 毎日のようにこの2人に搾り取られていたら、その内僕は本当に死んでしまう。


 そもそも、ベッドじゃなくて、ソファが軋みまくっていたし……その内、壊れないか心配だ。


「あ、あの、2人とも……」


「「えっ?」」


「い、いつもいつもは、ちょっとキツいんだけど……」


 僕が半笑いで言うと、


「それもそうだね~。いくらお◯ん◯んがデッカいとはいえ、まだ童貞を卒業したばかりのまーくんにはちょっと荷が重いか」


「あまり負担をかけ過ぎて、真尋が壊れても困るものね」


 どうやら、この2人は鬼畜さんではないようだった。


 僕はホッと安心する。


「じゃあ、1週間で交互ずつにしましょうか」


「えっ?」


「仕方ないな~。けど、1週間は7日あるから、どっちか1日少なくなるよ」


「それは当然、彼女である私の方が多いに決まっているでしょ?」


「そんなの横暴だ~!」


「ていうか、休日は真尋とデートするから。土日とも、私の物よ」


「はぁ~!? 何だよそれ! 不公平じゃんか~!」


「ふん、所詮はセ◯レの分際で何を言うのやら」


「そっちこそ、あたしよりおっぱい小さいくせに」


「だから、それ以外は私の圧勝だって言っているの」


「ていうか、ちょっとシミが出来てない?」


「えっ、嘘ッ? ちょっと、鏡、鏡……」


 麗美ちゃんは慌てて起きると、カバンの中を漁る。


「れ、麗美ちゃん、大丈夫だよ。シミとかないから」


 僕は苦笑しながら言う。


「本当に?」


「うん」


「ありがとう、真尋。……ゆかりぃ~?」


「ひゅ~ひゅひゅ~」


「ウザい女ね……」


「あの、ていうか、僕にも完全オフが必要でして……」


「えっ? じゃあ、日曜日だけお休みをあげるわ。その代わり、毎週土曜日は私とデートよ」


「花金はあたしとセッ◯スね~!」


「あの、たった1日だと、お2人の性欲の強さからして身が持たないんですけど……」


「だそうよ、ゆかり」


「いやいや、麗美こそ。清楚ぶって、メッチャ腰振り過ぎだったから。『真尋ぉ~! いっくぅ~!』……って。マジドン引きなんですけど~!」


「ゆ、ゆかりこそ。その下品ではしたないデカ乳を揺らしまくって……『ま、まーくん、もうらめぇ~!』……とか、知性の欠片もないわね」


「セッ◯スに知性とかいるの? ていうか、麗美もさしてないでしょ」


「あるわよ、あなたよりは」


「知性といえば、和沙たんでしょ。あ、でもまだかれぴさんとセッ◯スしてないんだっけ」


「でも、明日はデートらしいから。そろそろ、決めるんじゃない?」


「そうなったら、色々と聞かないとね~」


「そうね~」


 さっきまでケンカしていたのに、もうすぐに楽しくお喋りしている。


 裸のままで。


 女子ってすごいけど、よく分からない時があるな~。


「でも、せっかくだから、和沙たんも入れて4人でシてみたいよね~」


「えっ?」


「ゆかり、何をバカなことを……これ以上、セ◯レが増えたら、正妻の私が困るのよ」


「えっ?」


「ていうか、麗美ばっかズルいし。ちょっとタイミングが早かっただけっしょ? もし和沙たんも彼氏にフラれてまーくんに泣き付いて来たら、改めてまーくんの彼女オーディションしようぜ」


「あ、あの……」


「望む所じゃない。まあどうせ、勝つのはこの私だけど」


「え、えっと……」


「うわ、出たよナルシスト女。キモぉ~!」


「キモいのはあなたのおっぱいよ。どこまでデカくなるの?」


「スイカ、あるいは麗美の顔以上だね。ぶっ潰してやんよ」


「意味が分からないわよ、このギャルビッチ」


「黙れよ、モデルビッチ」


「何ですって~?」


「何だとぉ~?」


 そしてまた、2人は睨み合う。


「ケ、ケンカはやめてよ」


 僕が間に割って入ると、


「まーくん、こんな風に怒っているあたし達を、どうやったら止められると思う?」


「へっ?」


「答えてちょうだい、真尋」


「いや、あの……」


 僕は口ごもりながら、


「……あ、明日ってお休みをいただけますか?」


「本当なら週末でデートの日だけど……仕方ない、特別にお休みをあげるわ」


「よっ、さすが女王様!」


「うるさいわね! 私は真尋の彼女なの! カ・ノ・ジョ!」


「けど、正妻とずっといると疲れたりするから。そんな時、あたしみたいな間女といる時間が、何よりも癒しになったりするんだよね~」


「やっぱり、ビッチじゃない。浮気も不倫も最低よ」


「違います、これは愛なのです」


「ただの性欲じゃない」


「ま、まあまあ、2人ともその辺で……」


「じゃあ、まーくん。ご自慢のデカ◯ンであたしらを黙らせてよ」


「デ、デカ◯ンって……」


「そ、そうね……今日くらいは、真尋がお口の中にぶち込んでくれても……」


「うわぁ~、この女お上品ぶって、ムッツリだ、いやドスケベ、ド淫乱だ!」


「ゆかり、その無駄に育った乳房を引きちぎるわよ?」


「やられる前に、やる!」


 バチン! ベチン!


「ふぐッ……!?」


 ゆかりちゃんの巨乳ビンタが、麗美ちゃんに炸裂した。


 僕は大きく口を開きながら、その光景を見ていた。


 麗美ちゃんが床に這いつくばる。


「ふははは! これが巨乳の力なのだ!」


「……真尋、ちょっと包丁を借りても良いかしら?」


「れ、麗美ちゃん?」


「大丈夫、ちょっと美味しい果物を切るだけだから……ついでに皮も剥いちゃおうかしらぁ?」


「麗美ちゃああああああああああああああああぁん!?」


 その後、彼女の闇堕ち、ヤンデレ化を防ぐのが大変だった。







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