第14話 やっぱり巨乳って、すごいんだね。

 今日は楽しい休日。


「嬉しいな~♪ 嬉しいな~♪ かれぴとデート、嬉しいな~♪」


「おい、ゆかり。あまりくっつくなよ」


「良いじゃん。あたしのおっぱい、いっぱい当たって、嬉しいっしょ?」


「ま、まあ……」


 ゆかりの彼氏である麻生拓馬あそうたくまの返事はどこか歯切れが悪い。


「あ、拓馬ぁ。あのお店に行こうよ~♪」


「お、おい、引っ張るなよ」


「レッツゴ~♪」




      ◇




 ひとしきり、デートを楽しんだ後。


「ねえ、拓馬。今日もいっぱい、エッチしようね?」


「いや、ごめん。そんなには出来ないって言うか……」


「え~、何で~? もしかして、あたしとのデートが楽しみ過ぎて、いっぱい抜いちゃったの?」


「そうじゃなくて……」


 彼の部屋にて、少し言いづらそうにしながら、


「実は今まで黙っていたんだけど」


「えっ?」


「俺、そこまで巨乳が好きじゃないんだ」


「……マ、マジで?」


「うん、ごめん」


「じゃ、じゃあ、何であたしと付き合ったの?」


「いや、まあ本当は好みのタイプじゃないけど、付き合ったら面白いかなって。実際、いっぱい面白いことがあったけど……ちょっと、もう疲れちゃったかなって」


「え、何それ。まるで別れ際みたいな……」


「……実は、他に好きな人が出来たんだ」


「へっ?」


 目をパチクリとしてしまう。


「……ド、ドンナ人デスカ?」


「あぁ、何て言うか……お前の親友の麗美だっけ? あの子に似た感じの、大人びた子で……


「どっせえええええええええええええええぃ!」


 バチン!


 バチン!


 バチイイイイイイイイイイイイイイイイイイィン!


「ぐはッ……!?」


 拓馬はゆかりの巨乳に殴られてノックアウトした。


「はぁ、はぁ、はぁ……バカ」


 ゆかりの目にはジワリと涙が浮かぶ。


 そして、その場から立ち去った。


「おい、ゆかり……!」


 彼の制止を無視して、どこまでも、どこまでも。




      ◇




 休日、僕はまた家でのんびり過ごしていた。


 麗美ちゃんはお仕事のため、デートはしない。


 彼女はすごく残念そうに言っていたけど……


 ピンポーン。


「えっ?」


 何か、ちょっと嫌な予感と言うか、胸騒ぎがするけど……


「……はい」


 玄関ドアを開けた所に立っていたのは……


「……ゆかりちゃん」


「……まーくん、ごめんね」


 いつになく、肩を落としていた。


「ど、どうしたの?」


「……彼氏にフラれた」


「えっ?」


「大きいおっぱい、本当は好きじゃないんだって。今さら、何を言ってんだよって……しかも、もう他に好きな人が出来ていて、それが麗美みたいな子で……」


 うっ、ひっく、と。


 ゆかりちゃんは泣いてしまう。


「と、とりあえず、中に……」


 僕は涙をこぼす彼女を家の中に入れた。


 普段は即ジュースだけど、ここは……


「はい、どうぞ」


 温かいお茶を出してあげた。


「あ、もし、好みじゃなかったら……」


「……ううん、ありがとう」


 ゆかりちゃんはお茶を飲む。


「……うん、美味しい」


「良かった」


「好みじゃなくても、美味しいね……拓馬も少しは、そう思ってくれたのかな?」


 ジワリと、また彼女の瞳に涙が浮かぶ。


「あ、えっと……ティッシュ、どうぞ」


「ありがと」


 ゆかりちゃんは涙を拭き、チーン!と鼻をかむ。


「ぷはぁ……ふえええぇん!」


 そして泣きながら、僕に抱き付いて来た。


 また、その豊満すぎる感触を味わう。


「ゆ、ゆかりちゃん、ちょっと離れて……」


「嫌だ! まーくんまで、あたしを見捨てないで!」


 そ、そんなこと言われても……あっ。


 ビンビン!


「へっ?」


 ゆかりちゃんの目が、僕のいきり立つムスコを見た。


「これもしかして、あたしのおっぱいでこうなったの?」


「あ、いや……そうです」


 ここは素直に認める他ない。


 実際問題、ゆかりちゃんのロリ巨乳は犯罪級にドエロなのだから。


 麗美ちゃん、けど僕は君の美乳を愛して……


「……嬉しい!」


 むぎゅううううぅ!


「うっ、うおおおおおおおぉ!?」


 更なる圧迫感が僕を襲う。


 苦しいのに、何でこんなに……


「……ねえ、まーくん。麗美との約束、破っちゃっても良いかな?」


「へっ?」


「麗美の前じゃないけど、2人きりでこっそり……シよ?」


「い、いやいや、それは……僕はもう、浮気カレシなんて呼ばれたく……」


「えいっ」


 ベチン。


「はぐッ!?」


「えいっ」


 ベチン。


「おふッ!?」


 別にそんな強い力でやられていないのに。


 ゆかりちゃんのおっぱい、何て破壊力なんだ……


「大丈夫、彼女にしてなんて言わない。セ◯レで良いから」


「セ、セ◯レって……」


「それとも、あたしのおっぱい……嫌い?」


 むぎゅっと寄せながら、瞳を潤ませて言う。


 普段は元気いっぱいな彼女のこんないじらしい姿を見せつけられたら、もう……


「……ごめん、麗美ちゃん」


 僕は大切な彼女に謝りつつも――




「――あああああああああああああぁん! まーくんの、すっごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいぃ!」




 やってしまいました。


 全裸で土下座をすれば、許してもらえるかな?







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