第13話 ドブルルルン!

 ギス、ギス、と音がするようだ。


「にひひ」


「うふふ」


 ゆかりちゃんはジュースを、麗美ちゃんは水を飲みながら、


 お互いに、笑顔で見つめ合っている。


 いや、睨み合っている。


 だって2人とも笑顔なのに、空気がバッチバチなんだもん♪


「で、ゆかり。あなた、私の真尋に何をしていたのかしら?」


「手を出していました……いや、おっぱいを出していました!」


「それで上手いこと言ったつもりなのかしら?」


 また笑顔で刺しにかかる麗美ちゃん。


「ま、まあまあ、落ち着いて」


「浮気カレシくんは黙っていなさい」


「はぐッ!?」


「そうだぞ、浮気野郎ぉ~♪」


「ふぐッ……」


 言葉だけでフルボッコだ。


 まあ、実際問題、僕が流されてしまったのがいけないんだけど。


「れ、麗美ちゃん、でも聞いてくれ」


「聞きたくありません」


「キ、キスとか、本番はしていないから。僕はただ、ゆかりちゃんの巨乳に襲われただけなんだ!」


「ちょっと、襲われたとか人聞きが悪いんですけど~!」


「ゆかり、ちょっと黙っていなさい」


「黙るのは、お前だ♪」


「え?」


「ごめんなさい」


 麗美ちゃんの笑顔に刺されたゆかりちゃんは、大人しく口をつぐむ。


「では、浮気カレシくん、弁明をどうぞ」


「あ、はい。えっとですね……とりあえず、3人とも来ないって言っていたのに、ゆかりちゃんがいきなり来たんです」


「えへっ♪」


「黙りなさい」


「むぎゅっ」


「そ、それから、あれよ、あれよと言う間に……気付けば、ゆかりちゃんのおっぱいを揉むハメになってました」


「うん、有罪ね。浮気カレシくん、並びにクソビッチ女を処刑します」


「は、はやっ! いや、ちょっと待ってくれ!」


「え? 無理やり揉まされたの?」


「いや、まあ最初はそうだったけど……気付けば、体育会系なエクササイズ感覚で揉んでしまっていたような……」


「右手と左手、どっちを残したい? ていうか、どっちもいらないよね?」


「れ、麗美さん!? いきなり怖いですよ!?」


「サイコパス女ぁ~!」


「黙りなさい」


「ふぎゅっ」


「安心しなさい、真尋。例えあなたの両腕が、いえ両足さえも無くなっても……私が死ぬまで面倒を見てあげるから」


「れ、麗美さぁ~ん……」


 僕はその場で速攻、土下座をする。


「本当にすみませんでした!」


「マジ卍ぃ~♪」


「いや、それはおかしいから! ゆかりちゃんも謝って! 謝ってよ!」


「う~ん……ごめりんこ♪」


「はい、目玉潰しま~す」


「ちょっ、眼球はまずいって! このサイコ女ぁ~!」


「お黙りなさい」


 ぺち、ぺち。


 僕ら2人は軽くビンタをされた。


「はぁ~……まさか、親友にいきなり彼氏を寝取られるなんて」


「まだ寝取り途中だったんだけどね~。本番してないもん、キスも」


「ゆかり?」


「ふにゅ~」


 なぜかふにゃけるゆかりちゃんを見て、麗美ちゃん大きくため息を漏らす。


「……1つ提案をしても良いかしら」


「えっ、何かな?」


「真尋は流され体質だし、ゆかりはビッチでしょ?」


「な、流され……」


「イエ~イ、ビッチです☆」


「だから、どうせまた今回みたいなことが起きると思うの」


「いや、それは……」


「無いと言い切れるかしら? 浮気カレシくん?」


「ぐっ……そ、そう言われると、ちょっと自信が……」


「でしょ? だったら、いっそのこと……私の目の前でしてちょうだい、今ここで」


「「へっ?」」


 僕とゆかりちゃんは同時に目を丸くした。


「さ、さすが、サイコパス女……あたしでも引くわ」


「そのリアルな引きはイラつくわね」


「れ、麗美ちゃん、本気なの?」


「……ええ、そうね。どうせ、男はおっぱいに弱い生き物だって知っているから」


「イエイ♪」


 たぷぷん♪


「ちっ……だからその内、私の知らない所でこのおっぱい女にヤラれるくらいなら……いま私が監視している所で、やってちょうだい」


 そんな風に言う麗美ちゃんを見て、


「……ごめん、麗美ちゃん」


「えっ?」


「自分の……か、彼女に……そんなことを言わせちゃうなんて」


「真尋……良いのよ。その代わり、今回だけ特別だから」


「イエーイ!」


 ドブルルルン!


「って、はやっ! ゆかりちゃん、もう脱いでいるし!」


「だって、麗美さまから直々にお許しが出たっしょ? これはもう、燃えちゃうよ♪」


「さすがビッチね。せいぜい、私の……わ・た・しの、彼氏に天国に行かされると良いわ」


「え、天国に行っても良いの~?」


 ゆかりちゃんが、目をキラキラと輝かせる。


「ええ。真尋、やっておしまい」


「あ、あの、まだ僕にそれほどのテクニックは……」


「大丈夫よ。だって、私がいつも……天国行きだもの♡」


「あんたもビッチじゃんか」


「お黙りなさい、デカ乳女め」


「さーてと、そんじゃ、貧乳彼女に見せつけちゃいますか。ゆかりちゃんの特大ブルルン芸を」


「貧乳じゃないわよ!」


「そ、そうだよ! 麗美ちゃんだって、そこそこあるよ!」


「誰がそこそこですって?」


「い、いや、その……形の美しさでは、麗美ちゃんが上だよ」


「ありがとう、ギリギリ許すわ」


 笑顔のナイフを喉元に突きつけられる。


 こ、怖いよ~……


「ドーン!」


「おわっ」


 僕は床に押し倒された。


「よいしょっ」


 そして、また上がまっぱの状態になったゆかりちゃんが、またがる。


「まーくん、覚悟は良い?」


「え、えっと……」


「せっかくだから、楽しもうね♪」


「あ、あはは……」


「ええ、楽しませてもらうわ」


「うぐぐ……」


 その後、僕はゆかりちゃんの巨乳にフルボッコにされた。


 彼女である麗美ちゃんの目の前で。


「……はぁ、はぁ」


 もう、立てなかった。


 けど、それはゆかりちゃんも同じことで……


「……えっ、やば。あたしのかれぴより上手くね?」


 汗だくになった状態で僕の上に乗っかったまま、彼女は言う。


「ふふ、どう? これが私の真尋よ」


「ふ、ふぅ~ん?……べ、別に羨ましくなんてないんだからね」


「いま、彼氏より良いって言ったじゃない」


「そ、それは……ふ、ふんだ!」


 ドブルルルン!


 動くたびに、いちいち主張が激しいな。


「まーくん、残念だったね。もうあたしのおっぱいは味わえないよ。これからは、せいぜい麗美のちっぱいを味わってな!」


「だから、ちっぱいじゃないって言っているでしょう? 美乳と言いなさい」


「べ~、だ!」


 ゆかりちゃんはササッと制服を着直すと、


「バーカ! このバカップル、バーカ!」


 捨てゼリフを残して、ドタドタと走りながら去って行った。


「全く、あの子は……」


 麗美ちゃんは額に手を置く。


「……麗美ちゃん、ごめん。こんなことになっちゃって」


 僕は仰向けになりながら謝る。


「……そうね、本当に腹立たしいけど。まあ、私以外の女を知って、よりレベルアップして、私のことを気持ち良くしてくれるなら、許してあげる」


「きょ、今日はもう出来ないよ?」


「本当にそうかしら?」


 麗美ちゃんの笑顔が怖い。


 結局、その後……最後の一滴まで搾りつくされた。







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