第10話 合理的

「もう私引っ越す~、ダメ?」


「何言ってんだよ(笑)」


「なんで?そっち引っ越す」


「引っ越しても一緒でしょうな」


「一緒じゃないいじゃん」


「なんで?」


「え?」


「一緒でしょ」


「一緒でもない」


「いないんだから一緒でしょうな」


「いないけど、いないけど、今いるじゃん、今は」


「今はな」


「たった今」


「うん」


「それで例えばだけどさ、引っ越して、近くにいてさ、例えばだよ。例えば5分会えるとするじゃない」


「うん」


「その5分をとれるんだよ?」


「そんなお前芸能人じゃないんだから(笑)」


「でもさ、でもさ、そういうことじゃん、芸能人と一緒じゃん、スケジュール的に」


「そうだけどさ」


「ん?」


「ふふ」


「でしょ?だから別にそこに引っ越すんじゃなくて、あ、引っ越すというかここが、拠点は、(私の地元)で、例えば、私からの、こちらの、えっと、考えとしては、例えばですよ?例えばですけど、部屋をひとつ借りるとしますよ。彼氏さんがもし何日(彼地元)に戻るかもっていう時に」


「何?」


「そこに例えばですよ?そこ私がいればさ、もしかしたらその5分っていう時間を会えるかもしれないじゃん」


「うん、そうだねえ」


「だから私たちがホテルで会うっていうまでの時間を作るんだったら例えば部屋を借りておいた方が時間も短縮になるんじゃないの?って思うんだよね」


「ふふふふ(笑)合理的なお話ですね」


「そういうことです。それはおにいちゃんにとってのメリットが大きいと思うよ」


「ふふふふ(笑)なんでオレなんだよ」

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