2-4

 ちょっとお出かけ。

 彼はそれだけを残して去って行った。一体何をしにくのだろうか。そのようなこと、私に分かるわけもない。

 閉ざされた部屋で、私が出来る事。

 それは、彼のことを思うだけ。

「リオン……」

 助けてほしい。けれど彼には何も伝えられない。出来たとしても、言えることは、私は大丈夫。そのぐらいだろう。

 私がどの地方の何処にいるのかなんて、私自身も分からない。

「……けど」

 やろうと思えば、出来る。鳥のように周囲を見渡すことや、リオンがどこにいるのか、私がここから出ることだって、やれる。

 もしも勇気があれば。ふと、そんなことを思ってしまう。悔しくって、仕方がない。空しすぎて手に力は入らない。

 また魔法を使ってしまったら、私がどうなるのか分からない。

 それでどころかヤツは気づくに違いない。私がまだ魔法を使えることを。

 ばれてしまったら、またやらされるに違いない。もうあんなことは二度としたくない。

「イイコにしてた?」

「…………」

「彼は、いたよ。四人もね」

 おかしそうにヤツが笑う。

 四人? どういうこと?

 私は顔を上げなかった。せめてもの抵抗だ。

「どうかしたの、エウカリス」

「やめて! 私は…………私は!」

 あぁ、と全身から力が抜ける。奴は、ただ笑っていた。

「認めるんだ、自分の事を。ね、魔女さん」

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