愛の重さ ニア篝

※自創作「カラフル」のCP


※書きたいところだけの自己満足


※タイタニア(ロビン)×篝


※篝はノクス・ハウンドの生き写し。タイタニアは妖精の生き残りであり、妖精王と妖精妃の息子。


※とにかく自創作の為、かなり人を選ぶものです。


大丈夫な方のみどうぞ!!!!




















Q

「愛」について

「恋」について


答えを述べなさい。



愛の女神は微笑んだ。

「「愛」は与えるもの。「恋」は与え、与えられるもの。かな…。私にはレオがいたから」


治癒の女神は困ったように肩を竦めた。

「私にとっての「愛」は独占欲。「恋」は束縛。蓮華は私を殺してくれる。他の人を愛すのであれば私を殺す。傍から見れば狂っているかもしれないけれど、それが私たちの在り方なのさ」


治癒の神は真っ直ぐとこちらを見つめる。

「「愛」かぁ…難しいなぁ。うーん…。「愛」は永遠。「恋」は執着。かな。俺には先生がいた。先生は死んでもなお俺を離さなかったんだよ。死体人形として、傍に置いていた。死んでもなお、何処までも一緒に堕ちてくれる。それが俺の答えだよ」


転生の女神は愛おしそうに空を仰ぐ。

「「愛」は出会い。「恋」は檻。私は「人間」だから、何度も死んで、何度も生まれる。その度に「誰か」…イベニスを求めて走り出す。彼が私を連れ去ってくれるのをずっと、待ち焦がれる。そして私は彼に囚われる。その繰り返し。でも、それを嫌だとは思わないの。何度だって生まれ変わっても、あの人をひとりぼっちにしなくて済むのなら…私は何度でもつかまるわ」


此処にはいない、死の神…原初の「愛」の女神はあざ笑う。

「「愛」は狂気、「恋」は自己犠牲。つまりは独りよがりのエゴさ。愛のせいで女神は狂い、恋のせいで死んでいった。だから僕はこの世界にいないんだよ。わかるかい?」


分からない。

分かりそうもなかった。


「愛」も「恋」も自分は知らない。

だれも教えてくれなかったから。




※※※※※※※※※




結論から言えば、俺にとっての「愛」も「恋」も不愉快で気持ちが悪いものだった。

神は人間から切っても切れないものがあり、神は人間がいるからこそ神である。だからこそ、あいつらは醜い生物を慈しみ、愛し、狂う。精霊上がりのイベニスがいい例だ。人間だったアイリス…母に似た彼女を無邪気に「囲って」しまった。本人にはそのつもりも、その理も理解できていないうちにだ。アイリスが受け入れていたからいいものの、こんなもの呪いに等しい代物だった。そんな厄介な物を純粋な善意とエゴで押し付ける傲慢な生き物こそが神だった。

ならば、人間はどうなのだろう?俺は人間が大嫌いだ。あいつらがいたからこそ俺の国は種は滅んでいった。最高の薬品の材料だとか、宝石を宿す瞳だとか、腐らない死体だとか…そんな理由でだ。半妖の紛い物だと笑っていた糸雨は「怪物になりえるもの」と言っていたが…そうなのだろうか。なりえるもの、ではなく、「化け物」なのではないかと言ったら彼女は困ったように「そうかもね」といっていた。


…結局、この二種で構成されたこの世界には「化け物」としか思えない存在しかいないのだ。そう、俺は言われていた気がする。


どれだけ愛を、恋を理解しようとしても妖精と精霊、神と人の価値観は違う。生殖など必要性が無いに等しい俺たちにしてみればあれらは娯楽に近い。我が子は世界が産み落とす。そう思っていたぐらいなのだ。だからこそ、各々の神や人間が語る愛や恋は分からなかった。ただ、一つ分かったとするのであれば「あいつ」は俺を「愛している」と言った声色で「愛してなんかいない」と告げていたという事だけだった。


目の前で夜の帳を下ろしたような真っ黒な髪を揺らした子供が楽しげに微笑んでいる。

彼女は俺に言った「愛している」と。

何も灯らぬ硝子のような水色の瞳で語るのだ「愛していない」と。


二律背反、というのだろうか?彼女は嘘と共に息をする。


「なぁ」

「なぁに、私のティターニア」

「君のいう、愛している。恋をしている…それはどういう意味なんだ」


大人びた少女は目を丸くして、くすくすと微笑む。

こちらに手を差し伸べて、誘う様にして言葉を紡ぐ。


「難しいことを仰るのね。私の妖精妃様は」

「いいから答えろって」

「そうね。「愛」も「恋」も私にとっては「捕食」よ」


「愛」とは消費され、溶け合うもの。

「恋」とは奪い、食らい尽くされる行為。


「「愛」も「恋」も渇きに近い苦しみが伴うの。貴方を愛したい、触れたい、物にしたい。暴いて晒して犯し尽くしたい。蹂躙したい。何処までも貪欲に、求めて求めて食らい尽くしたい。お腹が減ったような痛みに近い、のかしら」


そういって笑う少女は、そうは見えなかった。

瞳には何もうつさず、空っぽな耳触りのいい哲学を並べる子供にしか見えない。

笑いが出た。愛しているなどよく妖精に告げたものだ、生死の神と、焔の神、原初の神の生き写しと言われたこの少女はどこまでも「人間」に近しい思考を持ち、誰よりも「道化」であった。だってそうだろう?


ここまで「何も」感じない言葉、聞いたことがない!


可笑しくて、腹を抱えて震える俺を少女は怪訝そうな顔で見つめてくる。


「…ロビン…?」


そっと、少女が触れようとしたのを腕で止めると顔をあげた。もう、こちらも偽るのはいいだろう。

こんなのは酷い茶番でしかない。


「ほんっと、とんだ道化だなお前は」

「……」

「俺が何も気が付かないような馬鹿な王子にでも見えたのか?残念、生憎と俺は歪みに歪んだ妖精なんだよ」


海の様に青い髪が、煤の様に真っ黒な髪へと変わっていく。

パキパキと音を立てて、しまっていた羽が皮膚を突き破る様にして表に出る。

小さな少女よりもずっと高い目線で彼女を見れば、大人の振りをしただけの少女は怯えた様に瞳を揺らす。


「お前ほど嘘つきで滑稽な神は見たことがないよ。「愛している」「私のティターニア」?あははは!!あー可笑しいね。おかしいとも!そんな事ちっとも思っていないくせに!!君は嘘だけで形成されているんだな!」

「な、に…?」

「なに?まだとぼけているのかい?いや、まだ寝ぼけているのかい?お前は嘘つきだっていってるんだよ。篝。お前の吐く言葉全部が嘘であって、お前を作る全てが演技だって。お前は一体誰なんだ?お前は誰になろうとしている?なぁ、それを教えてくれよ。醜いカミサマ」


とん、と軽く肩を押せば小さくて軽い彼女はそれだけで地に腰を落としてしまう。揺れる瞳が更に怯えの色を見せて、あれだけ強気で凛としていた雰囲気が消え去り、年齢層…それ以上に幼く震える子供に見えた。伸びた鋭い爪で、少女の頬を撫でればそこから薄らと赤い血が流れる。異様に、目を引くその色が酷くアンバランスに見えてくつくつと腹の底から笑いが込み上がった。先程まで愛だの恋だのを偉そうに語っていたくせに、結局この子は何もできやしない。死にかけて、絶望して、何処までも深くまで落ちていった自分とは違う。失った物も無ければ奪った事すらない。無垢な子供。原初の神だと、インベルの初恋の女神だと、そんな奴の生き写しなんて烏滸がましい。俺が聞いた彼女は少なくともこんなに「弱く」なかった。お前ごときが演じられるような「役」ではない。


「何になるつもりなんだ?女神?原初の神?…いや、“ノクス・ハウンド”か?」


縮こまった肩が揺れる。少女の様子を見れば簡単に分かった。やっぱりこいつは最初から「役者」になろうとしていた。周りから言われる生き写しという言葉。似ているという言葉。生死の神と、焔の神と謡われた小さな子供には重すぎる肩書き。それら全ての重圧をいとも簡単にこなし続けてしまうであろう原初の神に。原初の神は死の神であり、氷を司る神であり、バカみたいなエゴだけで今の世界を作り上げた女だと聞いた。否、男でもあったと。


「ハッ!お前みたいな奴がなれるわけがないだろう?何を夢を見ている?インベルが聞いたらきっと怒るだろうに…何も知らない無知な子供がなれる様な神ではない。ここの誰もがきっと、なれやしないような神だ。それをお前がやる?彼の神になりかわる?なぁ、君はどこまで愚かなんだい?」

「……さい…」

「なぁに?おちびさん?」

「うるさい…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!!」


少女が叫んだと同時に、目の前に炎があらわれる。火花が散って、後ろにあった木が一本倒れ燃えた。幸い後ろは石の道の為、火事になる事はない。代わりに、髪が少し焦げた。頬が少し焼けた。

少女はゆったりと立ち上がると何も宿さない瞳でしゃがんだ俺を見つめている。


「癇癪とは随分と幼いな。さっきまでの余裕はどうしたんだい?」

「うるさい!!貴方に…君に…何が分かるっていうの!?何も知らないくせに!?」

「こんどは悲劇のヒロインの役かな?あはは!君って反吐が出るくらいに自分勝手なんだね」

「黙って!!!!!!!!」


憤怒となった炎が彼女の体を包み込む。生死を司る神の蛍の様にその身を焼く青い炎が彼女の姿を黒く黒く塗りつぶす。


「何も知らないくせにどうして貴方は僕を暴くの?どうして貴方は僕を見つけてしまうの?僕の心を犯して壊そうとする?どうして…なんで?僕は、ただ…ただ…」


癇癪を起した子供の様に、同じような言葉を繰り返す。じわじわ、じりじり、音を立てながら炎が尽きていく。


「……貴方なんか、大っ嫌いだ」


ふっと、その言葉を最後に彼女は消えた。


「…また逃げるのか、何なんだよ本当に。





※※※※※※※※




「愛」を知りたかった

「恋」を知りたかった


僕ではない誰かが語った「愛」を

僕ではない誰かが見つけた「恋」を


僕は知らなければいけなかった。


産まれた時から知っていた。自分が原初の神の生き写しであって、原初の神が本来なら授かっていた力を皮肉にも僕の母が産んでしまった。人間の神と愛の神。レプリカから本物へとなった僕の親。愛している。ちゃんと、両親として大好きで愛している。二人の愛も分かっている。僕を「ノクス」ではなく「篝」として愛してくれている。先生も、夕も、蓮華も、糸雨も、僕に「篝」と名前をくれた。「篝」として愛してくれている。だけどだけど、その後ろには必ず「生き写し」「そっくりだ」というものだってある。だから、そうあれと僕は「ノクス」になるしかなかった。わかってる。こんなことがまちがっているのも。愚かだという事も。だけど、そうまでしないといけなかった。


だって、僕は「ノクス」と同じ思考で、同じようなものを持っている。

「ノクス」の考えは、僕の考えであって、「ノクス」の感情は僕の感情。

もともと、本当にそっくりなのだ。ならば、全部同じにしなければ歪に醜くなってしまう。

だれが決めたでもないそんな脅迫概念が、僕にはずっとあった。


まるで呪いだ。

こんなもの呪いでしかない。


だからこそ、彼女が他者の為に身を焼いた「愛」を、彼女が全てを凍てつかせた「恋」を知りたかった。

愛してみたかった。愛されてみたかった。

もしかしたそうすれば、僕は「僕」となれるんじゃないかって。

僕が僕じゃなくなったとしても「ノクス」になれたんじゃないかって。


「自由」になりたかった。

ロビンのような翅が欲しかった。

それを飛んで、何処までも、この世界ではない何処かに消えてしまいたかった。


涙が溢れる。擦り剥いた膝がいたい。枝に引っ掛けて裂けた腕がいたい。強く掴まれた手首が熱い。

知りたかった。愛してほしかった。愛したかった。死にたかった。生きたかった。真実になりたかった。嘘で在りたかった。人が知りたかった。心が知りたかった。好奇心に殺される、涙がでる。止まらない、止まらない、止まらない。


自分が何処までも愚かな道化だと思った。人間の世界に僕が来たらどうなるかなんてわかっていたはずだ。

あの戦争を生き抜いた血族だっている。それが僕を見たら責めるのも、攻撃するのだってわかっていた筈なのに。


「どっちに行った?」

「あっちだ!」

「くっそ…すばしっこいな」

「捕まえてぶっ殺してやる…あいつは、災厄の子供だ」

「いや、あれはもう邪神だろうに…。小さいうちに仕留めた方がいい」


息を殺して茂みに隠れる。バクバクと跳ねる心臓がいたい。

人間は怖いと夕がいっていたのに、忘れていた。それはそうだ。臆病で弱いからこそ攻撃的で群れを成している。

ノクス…原初の神であって世界を焼こうとした彼女にそっくりな自分は彼らにとっては「恐ろしい」存在。それを攻撃するのは当たり前であって、駆逐するために群れを成すのだって当たり前なのだ。

怖い、純粋にそう思った。死にたくないって。彼女なら…ノクス様ならきっとこんなことにはならなかった。

彼女なら全員を凍らせて壊してしまう。それぐらいに強く冷血な人なのだ。怖くて震えることも、不安で眠れないことだってない。全てを壊して、自分の身すら捨てられるほど「狂った」神だったのだから。

本当になんて自分は愚かなんだろう。こうなってやっと実感する。

僕は彼女にはなれないし、彼女は僕ではない。

考えが似ていようがそれを実行できない。精神が追い付かない。

力があろうとふるう事も出来ない。

怖くて涙が止まらない。震えが止まらない。どうしよう、どうしよう。どうすれば…


不意に腕が掴まれて引き上げられる。


「おい!!!見つけたぞ!!」


自分の腕よりも幾分も太い腕が力任せに地面へと引き倒す。強か打ち付けてしまった腕を抑えながら、じりじりと後ろに下がっていけば下卑た笑みを浮かべながら男達が自分の方へと寄ってくる。どこもかしこも痛くって、引っ掛けた服がボロボロで、今の自分はどこまでも惨めで弱くて愚かな少女だろう。一人の男が顎を掴んで品定めをするかのように私を見つめる。気持ちが悪い、彼女はこんな視線を受けたことがあったのだろうか?どろりとした憎悪と何だかわからないうすら寒い感情。それらが籠った淀んだ瞳には怯えて顔を真っ青にした自分が映っていた。


一人の男が言った。「どうせなら楽しまないか」と

一人の男が言った。「こいつなら楽しめそうだ」と

一人の男が自分の服に手をかけた。服が裂ける音がした。

力任せに腕を拘束されて、虫の様に自分を男たちが囲い込んだ。


辛うじて出した小さな悲鳴に、男の一人が笑う。お前が悪いと。

お前が人間を殺した神に似ているせいだと

お前が神であることが悪いと

美しい容姿に生まれてしまった事が悪いと。


何もかも、全部が全部悪いと

だから奪われるんだと…


目の前が真っ暗になった。涙が止まらない。愚かな自分を責める事しかできない。このまま自分は蜘蛛の糸に絡まった蝶の様にこの人間たちに食い尽くされて捨てられるのだろう。心身ともに壊れるまで、全部を全部。捧げることになるんだ。

抵抗すらもう出来なかった。ゆっくりと這い上がる無骨な手が気持ち悪いのに、もう、指一本動かせない。ゆっくりと、せめてこの光景を見たくないと目を瞑る。あぁ、最悪だ。こんな時に何故「彼」を思い出すのだろう。頬に切り傷を作ったあの爪は、傷つける癖に痛くはなかった。優しかったのだ、何処までも。言葉だって刃物みたいに心臓を刺していくのに…瞳は慰める様な温かな色を宿していた。そうだ。あぁ、そうだったのだ。

僕はちゃんと「恋」をしていたのだろう。

今更わかった所でどうにもならないというのに…


虚しさからふっと口元を綻ばす。もう助からない。そう思っていると頭上からバキリと太い枝が折れた様な音が響いた。

その後に次ぐようにして這い回っていた掌も、拘束していた力も離れていく。恐る恐る目を開いてみれば、目の前にはボロボロになった美しい翅が見えた。人間でも神でもない。死にかけて奪われていった一人の男の化け物じみた四肢がそこにはあった。この世界できっと彼ほど醜く美しい怪物はいないだろうと言えるほど…冷たい瞳を持った妖精が立っていたのだ。


「…インベルの言っていたことが当たってよかった。本当に胸糞が悪い。反吐が出る。気持ちが悪い。虫けらみたいに群がったこいつらが、こいつにしようとしてたことも、全てを壊してしまいたくなるようなこの感情も、全部全部気持ちが悪い」


男は笑った。

「お前は臓物を引きずり出して、部屋の飾りにしてやろうか」と

「お前は皮を剥いで剥製にしてしまおうか」と

「お前は四肢を生きたまま引き裂いて、オブジェとして飾ってやろうか」と

「いっその事、豚のえさにしてやろう」と

ひとしきり笑った後に、意識のない男を蹴りあげて息をつく。


「…駄目だ、インベルに怒られる。妖精だってばれたことは…まぁ、いい。だが、殺すのは…」


ブツブツと言いながら、彼が私の前まで来ると自身の着ていた上着を肩にかけた。


「お前はいつも都合が悪くなると逃げるんだな。逃げて、捕まって、もう少しで食い散らかされるところだった」

「……、…」

「愛してるは逃げる時の合図だった。愛してなんかいなかった。…結局、お前は何がしたかったんだ?」


男の鋭い爪が頬を撫でる。先程とは違い傷はつかない。冷たい筈の瞳は水面の様に揺蕩い、優しく暖かい。

ねぇ、妖精さん。僕はやっとわかったよ。遅かったけれど、分かったよ。

ボロボロと涙が溢れる。きゅっと、縋る様に彼の腕を掴んで俯いた。


「…貴方を、愛してる…。貴方に恋をしてしまいました。醜く愚かな僕を見つけてくれた。ボロボロな自分を救ってくれた…どこまでも飛んでいけそうな翅をもった、醜くも美しい怪物の貴方に恋をしました…」


懺悔のような言葉。嘘偽りのない僕の言葉。

原初の神の生き写しでも、生死の神でも焔の神でもない。僕の純粋な言葉。

それはどこまでも歪で恰好が悪くて、幼いものだった。


ゆっくりと顎を掬う様にして手を添えられ、それに従う様にして上を向けば彼はとても楽しげに意地悪く笑っていた。

何が楽しいのかは分からない。だけど、ただ、今この瞬間。僕はこの怪物の胃袋の中へと閉じ込められてしまった。


男は笑った。楽しげに。

少女は囚われた。本当の怪物に。


男の手が、ゆっくりと首から胴へと降りていき、在る部分で止まった。


「妖精に愛を告白するなんて、本当に何処までも愚かなんだね。ねぇカミサマ。お前はこれから俺しか愛せないし、俺との子供しか孕むことは出来ない。目移りする様な事があればお前を殺してしまうだろう。お前はずっと、俺に囚われるんだよ」


うっそりと、いっそゾッとするほど美しく目を細めた男は未熟な神を愛おしげに見つめている。


「ちゃんと俺を愛してくれよ。俺のオベロン」


少女は男の言葉に、何処か喜びを感じながら頷いた。


「なら、ずっと閉じ込めていてよ。僕のティターニア」






やべぇCPだな

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