第19話:女の子のめんどくさいこと
「――特別で、生涯のトモダチになる、ってな。俺たちは一生、特別な『トモダチ』だ」
ニッと笑ってみせたゲンキに、ユウもつられて微笑んだ。
「そ、そうだね……『特別』で、『生涯』の『トモダチ』、なんだよね、ボクたち……」
「そーそー。オレら一生トモダチだから! すぐくっついたり離れたりするオンナと違って、オトコの友情は一生続くんだ。オンナなんかメじゃねーぜ、なあゲンキ!」
「そうそう。俺たちオトコの友情は特別なんだよ!」
わっはっはと肩を組んで笑うゲンキとソラタ。
「そっか……、と、特別、なんだよね、ボクたち……」
すこし照れるようにしていたユウの、その後ろから顔を出してきたのは、マホだった。
「へーえ、じゃあ、カノジョなんていらないんだあ。残念だなあ~?」
今はいらない、そう答えようとしたゲンキだったが、ソラタは「オレはいるよ! 欲しい欲しい!!」と即答する。
「マホ、ひょっとして誰か紹介してくれんの!?」
「あっれ~? カノジョなんてめんどくさいんじゃなかったの~? あーあ、カワイイ子、知ってるんだけどな~? めんどくさいなら、しょうがないかな~?」
ソラタはゲンキを突き飛ばすようにして腕をほどくと、勢い良く立ち上がってマホに向き直る。
「それゲンキだけだから! オレはずっとカノジョ欲しいって言ってるから!」
「そーいう、お預けを食らった犬みたいなことしてるから、モテないんだよ?」
マホが呆れてみせるが、ソラタの勢いは止まらない。
「その通りでございます犬と呼んでくださいマホ様! 不肖このソラタ、マホさまの忠実な犬でございます! つきましては、この恵まれない哀れな子犬に、その『カワイイ子』を紹介してくださいますと、より一層この犬めの忠誠度が上がるかと!」
「おまえふざけんな!」
突き飛ばされて椅子から転げ落ちたゲンキの抗議など全く耳に入らない様子で「なんなら土下座でもいたしましょうか、それとも靴でもお舐めいたしましょうか」とまで訴えるソラタに、マホは笑いながら「どうしよっかなあ?」と笑う。
だが、ちょうどそこに担任が入ってきて、話はそこでおしまいとなった。
「ソラタは彼女が欲しいんだよね?」
「突然何言ってんだユウ、男は誰だってカノジョ欲しいもんだろ?」
昼休み、ユウに問われたソラタは、秒を置かずに即答した。
「だって、ゲンキはあまり欲しそうじゃないから」
「アレは脳みそまで陸上筋肉で埋まってるからな」
「え? 女の子は面倒くさいからじゃないの?」
「そりゃまあ、めんどくさいのは当然だけどな」
あれほどカノジョが欲しい、と臆面もなくわめいてみせるソラタが、しかし女の子とのことを面倒くさいと言う。ユウは正直、意外だった。
「……女の子って、そんなに面倒くさいかな」
「めんどくさいよ、お前だってわかるだろ?」
「どんなところを面倒くさいって思うの?」
「オンナのめんどくさいとこなんてさ……」
嫉妬深くて、理性より感情を優先するところ。
横並びの同調圧力が強く、仲間同士でお揃いを押し付け合ったり、仲間外れを示し合ったりするところ。
どうでもいい些細なことで記念日を作り、それによって相手をがんじがらめに縛りつけようとするところ。
「ゲンキじゃねえけどさ、確かに女の敵は女、とかいうのを聞いたこともあるくらい、オンナってオトコに比べてめんどくさそうなイメージがあるなあ。ユウはそういうこと、感じたことねえの?」
「男の子に比べて、女の子がめんどくさそうなイメージ?」
「そう。ユウなら、なにがめんどくさそうだ?」
ソラタに問われて、ユウは人差し指をした唇に当て、わずかに天井を見るように考えてみせる。
「……ボクが、女の子のどんなことが面倒くさいって感じるてか、ってことなんだよね?」
「そうそう。ユウはさ、女子の何がめんどくさいって思ってるんだ?」
ソラタにせっつかれるような形になったユウは、しばらく逡巡していたようだったが、困ったような笑顔を浮かべながら返した。
「……生理、かな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます