第9話 にの腕の快楽………そして姉の影
「グスン、俺もうお嫁に行けない……」
俺はベッドに顔を埋めて泣いている。
いや、正確には涙は出てはいないのだけど、心では泣いていた。
「すみません。でも気持ちよかったでしょう?」
眉をひそめて申し訳無そうに俺を見る、ロリ顔巨乳美人こと水葉さん。
うぅ、そんな顔しないでくれ。
なんか俺が悪いような気がしてくるから……。
「はい…。気持ちよかったですけど、それとほぼ同じくらい痛かったです。てか何なら痛みのが強かった……。」
俺は自分の麗しき愛脚を撫で撫でしながら答える。
普通の男どもはこのスネやらモモやらに毛が生えてウジャってるだろうが俺はなんとツルツルだ!!
いいやろ!!!無毛とか美意識高いやろ!!!
……………べっ、べつに幼い頃に姉にガムテープ脱毛されてから生えてこないだけじゃないんだからね!!
実は生えてこないのにビビってるとかそんなことないんだからね!!!
「じゃあ次は腕行きますねー。こっちは痛みはないですからね。」
水葉さんがそう言って俺の右腕を触る。
うぅ、この腕すらもツルツルなんだよな…。
おのれ姉め。俺が痛がるのを面白がって首から腹から腕から脛から腿から色んなとこ脱毛しやがって。
おかげで大学の頃狙ってた雰囲気美人のあやねちゃんに『全身脱毛してるのー?私毛がないのはちょっと……。』って言われたじゃんか!!!
お前!! 俺の下の毛まで持ってきやがって!!
銭湯に行った時の俺の気持ちを考えやがれ!!
周りは皆様隠れてるのに!
自分だけお粗末な息子さんが丸見えなのがどれだけ恥ずかしいことか!!
「ありがとうございます…。」
俺はふつふつと久しぶりに姉への怒りを燃やしながら、水葉さんへ感謝の言葉を述べる。
「はいはーい。力を抜いてくださいねー。」
そう言って俺の腕を揉んでくれる水葉さんはやはりキレイ。
うぅこんなお姉さんが良かった…。
水葉さんならきっと、嫌がる弟の全身の毛を嬉々として業務用ガムテープでむしり取ったりなんてしないはずだ。
…………いや、夜のお姉さんはそんな奇行はしないはずだ。
俺の姉が頭おかしいだけだな。
「ふぁぁ……」
姉のニタニタ顔を思い浮かべると何故か眠くなってきて、俺は大きくあくびをした。
あいつ昔はあんなに傍若無人で極悪非道だったのに、今はしおらしくなって大人しいんよね。
俺はその大人しい方が慣れなさ過ぎてまだなにか裏があるとずっと疑っている。
多分俺が55とかになったときに突然、『姉がいきなり優しくなったら弟はどうするのかドッキリ大成功!!!』とかいって嘲笑ってくるんだ。
「ふふふ、気持ちいいですか?」
俺の右腕の二の腕あたりをプニプニしながら水葉さんが尋ねてくる。
「あっはい、本当にヤバいっす。」
俺はいきなりのことに一瞬戸惑ったが、すぐに理解して弁当をした。
ヤベー、姉のこと考えすぎてマッサージに集中してなかった。
おのれ姉のやつ俺と水葉さんのラブラブまで邪魔するのか!!!!
俺は頭を振って物理的に脳内から姉を追い出し、マッサージに集中する。
フニっフニっと水葉さんの細い指が俺の無毛の肌をリズミカルに押していく。
「それは良かったですー。」
ニッコリ笑った水葉さんがその手のスピードを早めていった。
うぉぉおお!!! 気持ちイィいい!!
普段触らないし意識すらしないところだから、俺の腕の贅肉&筋肉が今日ばかりはと元気よく踊ってやがるっ!!!!
ヤベェ!!!
こんなに気持ちよくていいのか!!?
しかも、全く痛くない!!
これ!! めっちゃ重要!!!
俺は姉のことなんて忘れて、プルプルに酔いしれた。
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