第6話 束の間の休憩♡

「肩は終わりでーす。一旦休憩に入りますね。」


俺の地獄が始まってから数分、我らの天使こと悪魔である水葉さんがそう言った。


「お、終わりですか?」


俺は虚ろな目で尋ねる。


「はい。一気に揉みすぎても良くないので、10分ほど休憩を挟んで、その後足に行きますね。」


にっこりと笑った水葉さんが、手をタオルでふきふきしながら答えてくれる。


ちなみに今回のはちゃんと観てるぞ。

微笑んだロリ顔美女は、控えめ言って最高でした。


「最後の方は痛かったですよね。」


ごめんなさいと笑いながら彼女は言う。


うわやっべ、かわいい。惚れる。まじ、惚れる3秒前やわ。


「はい。けど、それ以上に気持ちよかったです。」


俺はベッドの上で体を起こし、肩を回しながら答えた。


「それは良かったです。」


…………いきなりの、ニッコリはだめ、俺が死ぬ。


俺、辞世の句。

美少女に微笑まれたら男ってのは簡単に死ぬように出来てるんだよ。


てか、水葉さんいくつなんだろ。

見た目的には俺よりも若いよね。


けど、この狂気凶器的なお胸の大きさでいくと俺よりも年上か?


「つかぬことをお聞きしますが、おいくつですか?」


一度気になったらなんか無性に知りたくなる。

下手しなくても嫌われかねないけど、俺は質問してしまった。


これで嫌われたなら俺は彼女の年齢を気にした自分を一生恨むだろう。


「えっと、今年で24です。」


オォ!!! 神よ!! なんであなたはこんな完璧な人間を作り給うたのか!!!


かわいい!! 胸がでかい!! そして、優しい!!!


もうこれは完璧!!

マジで結婚できるのならばすぐさま入籍したい。


「あぁ、俺の1個下ですね。」


俺は心の内乱を抑えて、真顔で答えた。

だめだぞ俺、彼女はこんなに完璧なんだ、だから絶対彼氏がいる。


いなくたってみんな狙ってる。

俺みたいな普通・オブ・ザ・ワールド・マンは視界にいれるだけで泣いて喜ばないといけない存在なんだ。


「どこのご出身ですか?」


水葉さんは俺の葛藤なんて知らずに、にこやかなままそう尋ねた。


「えっと俺は東北の方です。宮城です。」


宮城はいいよー。

伊達政宗だよ? ずんだだよ? 雪降るよ?


「私、岩手です!!」


俺が答えて直ぐに水葉さんが食い気味に言った。


マジか、俺の真上やん。

あの実は面積がとんでもなくデカい岩手出身なんや。


なんだろう、謎の親近感が湧く。


「同じ東北ですね!」


俺は東北仲間としてサムズアップをかます。

もし俺がイケメンだったのなら、ここでハイタッチやらハグやらキスやらできたのに…。


「年も近いし、生まれたところも近いなんてなんか偶然ってすごいですね。」


お手々を拭き終わった水葉さんが言う。


…………それはだめよ。


皆様に説明すると、水葉さんは今前のめりになっていて、しかも腕を胸の前でクロスしています。


つまるところ、彼女のおつぱいがかなり強調されているのです。


ただでさえパイナップルなそれが寄せられることによって、小玉スイカに早変わり。


ありがたいような、女の人としてそれは大丈夫なのかと心配になるような……。


「そうですね。」


俺は強烈に目を引くそれを数秒かけて目に焼き付けたあと、見ないように顔を背けた。


……これでいい。男として大人として、守りたいおつぱいと名誉があるのだ。


「じゃあ、足いきますか。」


そんな俺の葛藤を知りもしない水葉さんが、オイル片手に俺の足元に移動する。


「お願いします。」


俺は足は痛いのかなとと思いながら、そう声をかけた。

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