第2話 ストラァイクゥ!俺アウトっ!!

サイドを伸ばしたボブヘア。

髪色は多分染めてる薄めの茶色。

マッサージ店の黒い制服と…………それを内側から押し上げる二つの丘。


や、ヤベェ……どストライクだ…。


胸が大きくて、かわいくて、優しそうな女の子。もう文句の付け所がない。


「今回はご予約ということで、時間無制限コースで宜しいですか?」


でもこういう完璧な女の子は彼氏いるんだろうし、いなくたってイケメンたちが狙ってんだろうな。


ふっ、俺みたいなフツメン日本代表、世界選手権三連覇


「はっはい……よろしいです…。」


俺は悲しい現実に涙しながら、返事をする。


よろしいですと自分に敬語を使ってしまったのは許してくれ。


俺みたいなフツメンの意見代弁会名誉会員にとって、美女と話す機会なんてこれが初めてかつ最後なんだ、緊張するのは仕方ない。


もし俺が修羅場を何百個と潜ってきた大強盗だとしても、緊張する自信があるね。


「ふふふ…。失礼しました。では、まず最初にお顔のマッサージからさせて頂きます。」


俺の失態を笑いながらも、スンと切り替えて微笑む水葉さん。


うん、天使よね。

守りたいこの笑顔だよ。


俺の顔に蒸しタオルが載せられる。

温かさと湿り感が同時に押し寄せる不思議な感覚。


悪くないねぇ。俺はこういうの好きよ。


ポチャポチャとオイルが振られる音が聞こえてくる。


良いよねぇ水の音、癒やされる。

こういうASMRとかも眠れはしないけど聞くのは好きだよ。


「失礼します。」


顔にのっていたタオルが取られて、代わりに人肌の温かみが伝わってくる。


ムニィムニィと俺の肌が揉まれていく。


…………何これ気持いい!


「お顔にはたくさん神経がありますからねー。ほぐしてあげると血行が改善されてむくみが取れたり、目がぱっちり開いたりと良いことづく目ですよー。」


椅子には座らず、俺のベッドの上側に立って俺の顔こ色んな角度や色んな場所を揉んでいく水葉さん。


うわぁ、やっぱ本職のマッサージっていいわぁ…。

普段どんなASMR聞いても寝付けないのに、もうすでに眠くなってきた。


ムンニィ、ムニニと摘まれては離されて、圧されては離される。

オイルによって滑りやすくなって、まるで俺の肌じゃないみたいだ。


「お顔は本当に大事ですから、念入りにやりますね。お客さんはお若いですけど、何故にマッサージに?」


両頬をグリングリンと回しながら水葉さんが尋ねる。


「肩と腰が凝ったのと…………お恥ずかしいことに最近寝付きが悪くて。」


俺は襲ってくる眠気と戦いながらそう答えた。


正直、もう落ちそうです…。

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