よみちゃんにかいしんのいちげき!

「いらっしゃいませー!


 ……おっ、来たね! 鴉上カラスガミ様、大人一名・子供二名が! ではスマホを――よし、オッケ!」

よみ、手短にな。ふたりも私もペコのペコだ」

「よーし! それじゃあはらぺこ三名様、この天音詠あまねよみが超特急でご案内しま――」


「ちょ……ちょっとまって!」


「――ぁす?」

 急停車。

「どうした、幹也?」

 お手洗いだろうか。行く前麦茶飲んでたし。

 ええと、場所はたしか――。


「『さんめいです』いってなかった!」


「ね! おなまえもわかってた!」

「ゆうしゃさま、なにしたの!?」

「どんなまほう!?」

「え?」

 ……魔法?

 高度に発達した科学技術は魔法と見分けが付かない、なんて言うけども。……でも普通に使うよな?


「何、って――。

 ……事前にアプリで席を予約しただけだが?」


「アプリ」

「よやく」

「えーと……――あ、回転寿司。

 前、一緒に行った時――ご両親、ほら……スマホで。

 あれ・・。あれと同じだ」

 ……なぜだ、イマイチ飲み込めてない表情かおをされる。

おかお・・・みただけでわかってたよね?」

「なんばんですっていってないよね?」

 ああ、そういうことか。

「同じクラ――」

 ……いや待て、この言い方で伝わるか?

 この年齢レベルに対して適切な言い方といえば――。

くみ・・の友達なんだ」

「いぇ〜い✌」

 よし、これなら伝わるだろう。ていうか詠なんだその手。

こね・・だ!」

「すげー!」

 詠をコネと捉えたことは無かったな……。バイトだぞ、社長とかならまだしも。

「怪訝な顔してるねぇ……。アイ、この子たち幼稚園生くらいだよ? お店で友達働いてる方が珍しいよ」

 なるほど。言葉だけじゃなく、思考も合わせる必要があったな。調整が難しい。


「――おねえちゃん!」


「こらこら真乃、詠のエプロンを引っ張るな」

 駄目だ、完全に幼稚園児モード。パーティ追放の刑には私も処したくないぞ。

大丈夫だいじょぶ大丈夫だいじょぶ

ええと――真乃ちゃん、なあに?」


「あのね、……なにぐみさんですか?」


なっつ……」

「うわ、その言い方なつーい!

 聞いて驚け! 私は……AAAトリプルエーぐみさんだっ!」

「三年A組な」

「……お席にご案内しまーす」

 冷静なツッコミ、会心クリティカル

 お前との会話イベントは長引くのでスキップさせてもらう。

「さてお待ちかね、美味しいお肉の時間だぞ」

「――……おにく!」

「おにくたべれる!?」

 よしよし、こちらも本来の目的を思い出してくれたな。

「おちびちゃんたち、通路は一列に並んでねー」

「ならぶ!」

「ついてく!」

「のっぽちゃんも一列ね」

「ゆうしゃさま、のっぽちゃんだって!」

「かわいいね!」

「前見ないと危ないぞ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る