Act.03:宇宙ステーション
「おお……これが宇宙ステーションかあ」
六角形の球体のような見た目をしていたが、中に入ればちゃんとしており、本当にあの球体の中なのか、と思うくらい広い。
宇宙船用の発着場もあり、見た感じではそこそこの数の宇宙船が止まっている。すぐ脇にある階段の上を見ると、手すりから発着場を見ているような人が数名居る。
明るさは全体的に、ちょっと暗めかな? とは言え、そこまで真っ暗と言う訳ではなく普通に遠くが見えるし、自分の宇宙船内と比べるとちょっと暗いと言った程度だ。
「あの、マスター……これ似合ってますか?」
顔を赤くして、もじもじしながら僕の方を見て来るアストラル。
宇宙船内でいつも話している時と、雰囲気と言うか何か違い過ぎないか? 宇宙ステーションに入る前にアバターの方を漁ってみたのだが、やっぱりと言うか何というかかなりの数の種類のアバター衣装が格納されていた。
どれだけガチャ回してんだって話だけど……でも一応、貯金とかも考えてちゃんと調節して課金してたからね?
後、ガチャじゃなくてもゲーム内で入手できるアバターもあるし、全部が全部課金ガチャ産ではないぞ。まあ、ほとんどガチャなのは確かだけど……。
まあそれで、アストラルに着せてみたのが僕のこの黒ロリと正反対の、白ロリの衣装である。ぶっちゃけ言えば、色違いである。
この白ロリなのだが、実は黒ロリシリーズのガチャのコンプ報酬である。要するに黒ロリシリーズのガチャを回して、アバターをコンプリートする事で、手に入れられるおまけみたいなものだ。
正直、白ロリは白ロリで別のガチャにした方が良かったのではないかって思っているけどね。まあ、そこは運営の判断なのだから、僕らがとやかく言う筋合いはないけどね。そんな訳で色違いと言う事になる。
ゲーム内では、ガチャのメインの衣装のシリーズを揃えて着ると、高級感のあるオーラのようなエフェクトが常に出ている。
それはコンプ報酬である白ロリ衣装も同じで、色違いのエフェクトが出る。僕の服とアストラルの服を見た感じでは、流石にそんなものは出てなさそうだ。
因みにエフェクトについては設定画面でオンオフを切り替えられるよ。
と言うか周りを見て思ったんだけど、結構みんな服とか自由過ぎるな……宇宙服のようなものを着た人がいっぱい居るようなイメージがあったんだけど。
ぱっと見、地球で普通に暮らしている時と変わらない。まあ、ただ服は何処か未来感あるようなものが多いかな? それでも、デザイン自体は、何か見た事あるようなのがちらほら。
でもまあ、これならこの服を着ていても可笑しくはなさそうで安心した。
「似合っているよ! アストラル、可愛い」
「か、可愛い……マスター、それは言い過ぎですよ」
「そんな事ないと思うけどな」
「ぅ……」
綺麗な金色の髪に白ロリの衣装との組み合わせは中々良くて、お世辞抜きでもアストラルは可愛いと思う。まあ、元も可愛いけど……あれでも、僕の宇宙船のコアなんだよなあ。
「本当に人間にしか見えないな」
恥ずかしいのか、顔を赤くしているし感情も豊かだ。何処か子供っぽいけど、それでも宇宙船としては色んな知識を持っている。
ただそこで疑問に思うのが、アストラルのような宇宙船の擬人化? した存在が他にも居るのかと言う事。
他の人の宇宙船とかにも、居るのだろうか? それとも居ないのだろうか。居るのであれば、普通な存在なんだろうけど、居なかった場合は僕の宇宙船だけが特別というように捉えられる。
まあ、まだ誰とも交流してないから何とも言えないけどね。
ちょっとアストラルが攫われたりしないか不安でもあるが、見た目は完全に女の子なので、誰も宇宙船のコアだとは思わないだろう。
とは言え、識別できるような何かがあったらバレるかもしれないが。
「そう言えば、アストラルって宇宙船から離れても大丈夫なの?」
「あ、それは大丈夫です。一応、一定の範囲なら問題なく動き回れます。ただ、それ以上遠く離れると強制的に宇宙船の方に引き寄せられてしまいますけどね」
「え。それだと、この宇宙ステーションは大丈夫なの?」
「この宇宙ステーションの広さくらいであれば、隅々までは行けますよ」
「それなら良かった」
しかし、一定の距離以上離れると宇宙船に戻されるってまた、謎な技術? だなあ。まあ、世界観が未だに掴めてないから、仕方がないんだけど。
SFAに似ている所もあれば、違う所もあるし……正直、あまりゲームの知識は役に立たなさそうだな。
太陽系を目指すのが優先目標であるのは違いないが、その間にこの世界観とかについても分かって行けたら良いなって思う。
宇宙がメインであるのは確かな気はするんだけども。
「どうかしましたか、マスター?」
「ん? あ、いや何でもないよ。ちょっと考え事してただけだよ。アストラル、可愛いから自信もって」
「マスター……大好きです!」
「っちょ!?」
こんな人目のある所で、抱き着くなって。
一瞬にして視線がこっちに集中してるじゃないか! めっちゃ、微笑ましい顔で見られてるんだが!?
割とこれは恥ずかしいぞ。
「と、取り敢えず、宇宙探検者協会に向かうとしようか」
「分かりました!」
アストラルを落ち着かせ、そのまま一緒に階段の方を登っていく。
まだ視線を微妙に感じるけど、気にしては負けだ……気にし過ぎては何も出来ない。階段を登った所からも、さっきいた場所は丸見えだったし、ここの人にも見られてたな、きっと。
で、階段を登った先にあるのは幾つかのお店? のようなものが、横にずらりと並んでいる。当たり前のように、ホログラムみたいなのが使われてるようだ。
なるほど、こうなっているのか。
この光景は、SFA内にあったステーションと同じかな? 多分、宇宙船のアップグレードパーツとかも売っているのかな?
他にも飲食スペースと言えば良いのか、テーブルとかイスが結構置いてあるみたいだ。で、食べ物とかを売っているお店もある。
……ふむ。
ショッピングモールのフードコートみたいな感じだ。SFAでも、そんな感じになっていたので宇宙ステーションはゲームと同じかな?
アップグレードパーツとかは売っているか分からないけど。
取り敢えず、宇宙探検者協会とやらに行くとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます