Planet.02:『アリオス星系』

Act.01:アリオス星系①


 ワープ空間。

 何だか良く分からないけど、普通とは違う空間らしくて、ここを通ると近道が出来るらしい。いや、全く分からんがな!


 取り敢えず、ワープする事で、数百光年だろうが数千光年だろうが、そこまで時間をかけずに移動できる超技術だというのは理解した。SFA内でも普通にワープ技術とかあったもんね。


 最早SFにはお約束の技術。


「あと1分程度でワープ空間を抜けます」

「そっか」

「はい。到着予定の場所はアリオス星系と呼ばれる、恒星アリオスを基準に六つの惑星が公転している惑星系になります」

「六つ!? 多いね」


 それ言ったら太陽系は冥王星入れて九つあるけどね。でも、さっきいたエネス星系は三つしか惑星なかったし……やっぱり、星系によっても違うのかな。


「アリオス星系は、人の住める惑星が二つ存在します。また、宇宙ステーションやスペースコロニーも存在しており、一応、人が多い場所ではあります」

「おー……」


 25000光年も先となると、やっぱり違うのかな? と言うか、ここはまだアルス銀河なのか?


「アルス銀河は直径約12万光年、厚さ約2200光年の大きさを持っています。先程居た、エネス星系はアルス銀河の中央より、おおよそ2000光年の位置に存在していて、このアリオス星系もアルス銀河となります」

「ふむ……」


 直径が12万光年か……この銀河系を抜けるのにもそれなりにかかりそうだな。一度に飛べる距離は25000光年だから、端から端の場合だと、必要なワープ回数は5回と言った感じか。

 あくまで、端から端の場合だけど。そう言えばエネス星系がアルス銀河の何処にあるかは聞いてなかったな。ついでだし、アリオス星系も含めてアストラルに聞こうかな。


「このアリオス星系は、アルス銀河のどの辺りにあるの?」

「そうですね……あ、そろそろワープを抜けるみたいです。念の為、衝撃に備えてください」

「了解」


 惑星ノアの近くまでワープした時は特にそんな衝撃とかはなかったけど、念の為、だもんね。頑丈で動かなさそうな物にしっかりと掴まる。

 しばらくして、正面が眩しく光りだし、一瞬だけ空間が歪んだのが見える。そのまま光を抜けると、辺り一面に星空の景色が広がる。

 いや、宇宙だから星空という表現は可笑しいかな? 取り敢えず、ワープ空間という場所からは抜け、宇宙空間に戻ってきたようだ。


「無事ワープ完了しました。ワープドライブに損傷はありません。目安としては数時間休ませられれば問題ないと判断します」

「数時間か……思ったより短いね」

「出力半分で稼働させましたからね。そこまで負担は大きくないですよ」

「そっか」

「それでですが、マスター。先ほどの続きになりますが、こちらをご覧ください」


 そう言ってアストラルは目の前のモニターに映像を映す。そこの映っているのは、渦巻き状のものがゆっくりと回転している様子だった。


「これは?」

「アルス銀河の全貌です」

「これが……」


 しみじみと、その映像を見る。モニターのサイズもあるから小さく見えるが、この渦巻きの形をしているのがアルス銀河というらしい。


「横から見るとこうなってますね」


 そう言いつつアストラルは別のモニターに、横から見たような映像を映してくれる。直径が12万光年で、厚さというか横からだと2200光年、か。


「先程まで居たエネス星系はこの位置になります」


 アストラルの言葉と同時に二つモニター上に、エネス星系の位置が表示される。


「おぉ……結構遠い」

「それはそうですよ。25000光年を移動していますから」

「それもそうか」

「現在位置はここになりますね」


 現在位置、つまりは今僕らが居る場所、アリオス星系の場所になる。エネス星系は、中央から少しだけ右に位置する場所にあり、アリオス星系は更に右に行った所に存在するようだった。

 これから察するに、横から見た図の右方向に向けて移動していると言うのが分かる。


「横の図だと、右方向に進んでる感じだね」

「そうなりますね。この方向にワープを繰り返せば、恐らく到達できるはずです」


 天の川銀河の太陽系……ここが僕の目的地だ。

 SFA内に存在する惑星や、星系、銀河等は実在する名称が使われている事はなく、架空の名前となっている。正確にはランダム生成機能? とやらを使って無数の星を生み出していると何処かに書いてあった気がする。

 名前も一部手動もあるけど、ほとんどがランダム名なので、日本語が少し可笑しくなってる場合もあったりする。海外の会社だから、仕方がないしランダムだからね。


 まあそれで、天の川銀河っていう名前は当然SFAには登場しない。登場しないはずなのに、太陽系という星系が存在していると言う事は……。

 やっぱり、これは現実という事なのだろう。改めて自覚する。


「マスター?」

「うん?」

「何処かぼうっとしていたので。大丈夫ですか?」


 いかんいかん、考え込んでしまっていたようだ。


「大丈夫。ありがとう」

「えへへ! マスターの撫で方好きですよ!」

「それは良かったよ」


 取り合えず、今は目的地である太陽系に向けて進むのみだ。

 でも、他の星系とか惑星とかも気になると言えば気になる……ちょっとだけ寄り道しようかな? 少しくらいなら良いよね。


 そんな事を思いながら、アストラルを撫でつつ外へと視線を向けるのだった。






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