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 とうとうオンラインオフ会が始まった。画面は参加者全員の顔が見えるモード。まずは主催者のあいさつ。そして乾杯。と言っても、タブレット画面にグラスをコツンとぶつけるだけだけど。


 ここからはフリータイム。料理や飲み物もタブレットからオーダーできるし、タブレットからホテルの給仕スタッフを呼んで注文することもできる。ただ、今回は15才以上の未成年も対象なので、飲み物は全てノンアルコールとなっている。ホテルの料理はどれも美味しかった。


 1対1のプライベート通話もできるけど、私は専らグループトークモードでワイワイお話しする方を選んだ。それでもプライベートチャットが勝手に飛んでくる。


 ”かわいいね! リアルでJKなんだ!”

 ”二次会いかない?”


 こういうのは徹底的にシカト。主催者に報告すれば警告が行くらしいけど、恨みを買うのも嫌だし。


 そして、肝心の Maxwell さんは……


 やっぱり、来てないみたいだ。どの席にも名前がない。


 そっか……やっぱ、ダメだったか……


 あんやとさん改めみっちょんとは、グループトークで一緒になったりもしたけど、互いに他の人と話してばかりで、二人で話す事はなかった。まあ、みっちょんとは学校でいつでも話せるからなぁ……


 そうこうしているうちに、オンラインオフ会もお開き。主催者側はお酒なしで盛り上がるのか危惧してたみたいだけど、いろんなところでグループトークに花が咲いていて、大成功だったようだ。


 帰り支度をしていたら、隣のみっちょんが、私の方にスマホの画面を向けた。そこには以下のように書かれていた。


 ”この後二人でちょっと一緒に話さない?”


 え……


 私が表情で難色を示すと、彼女はスマホを撫でて、さらに文字を追加した。それは私の気持ちを動かすのに十分だった。


 ”あなたと Maxwell について話したいの”


---


「先生、二次会に行かなくて良かったんですか?」


 会場からほど近い、コーヒーチェーンの店。奥の4人掛けのテーブル席で、私とみっちょんは真向いではなくはす向かいに座っていた。ソーシャルディスタンス。


「いいのよ。これが二次会だから。それに家では子供が待ってるし、お母さんが酔っ払って帰ってくるわけにいかないでしょ?」


 そう言ってみっちょんは人懐こい笑顔を浮かべるが、すぐに真顔になる。


「それで、早速本題に入るけど……Maxwell のことなんだけどね」


「ええ。私、誘ったんだけど……来なかったですね」


「いいえ、来てたわ」


「……え?」


 思わず私はみっちょんの顔を見つめる。彼女はニヤリとして、言った。


「私が、Maxwell だから」


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