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 その日の物理の授業もオンライン。画面の中で米泉先生が喋っている。


『それではここで、実験動画をお見せします』


 そう言って、先生が共有画面をブラウザに切り替えた。


 ん……?


 ブラウザのツールバーの部分に、見慣れたアイコン……


 そして、それに続く文字は……


 ”オンライン小説サイト シャケ……”


 そこまでしか見えなかったけど、間違いない。


 これ、ブックマーク、だよね……? 先生、シャケトワールをブックマークしてるんだ……


 ……。


 私の中でおぼろげに漂っていた「Maxwellさん = 米泉先生」の図式が、いきなりはっきりと現実味を帯びてきた。


 そうだ。


 オンラインオフ会、Maxwell さんも誘ってみよう。来るかどうかわからないけど、こっちには切り札があるんだ。


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 実は、私は能登から越境入学して金沢に来たので下宿の身だ。だから行動の自由が結構利く。今回のオフ会も、親にバレたらまずい……ってほどのことでもないと思う。だから私は早速シャケトワールにログインして、金沢会場に事前予約した。


 続いて私は、Maxwell さんにメッセージを送った。


 ”オンラインオフ会、私とあんやとさんは参加する予定です。先生も参加しませんか?”


 確か、あんやとさんは Maxwell さんとも相互フォローだったはず。あんまり交流してなさそうだけど。そして……


 私の切り札。あえてメッセージに「Maxwellさんも……」ではなく、「先生も……」と書いた。あなたの正体知ってます、的な。もちろんこれは諸刃の剣。それを伝えてしまったら、向こうも見当がつくはず。こいつは同じ高校の生徒じゃないか、と。


 はたして。


 全くのスルーだった。メッセージに「いいね!」もつかない。こんなことは今までなかった。さすがに動揺してるのかな……


 これでどうなるかは、分からない。でも、私ができるだけのことはやった。後は当日を待つだけだ。


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