最終回2つの光

武器を調達したブルージョーは丈の事を気にかけながら、戦場へ出る。

持ったのはデッドストロングに特攻性のあるエネルギーを搭載したビームサーベルとビームライフル、新設計されたシールドだ。


『こちらブルージョー。現在丈が体調不良を起こしたため単独で出撃する』


白き機体から通信が入り、隊長は驚いた様子だったが、彼女なりに頭を整理し言葉を口にする。


『分かりました。ブルージョー、お帰りなさい』


『あぁ。お祝いは後で存分にしてもらうぜ。隊長さん』


冗談混じりの彼の発言に、微笑みながら『分かりました』と一言告げた。


出撃するブルージョーはバックパックを起動、加護を放出し翼を羽ばたかせ現場に向かった。


一方その頃隊員達は生み出された真獣達を撃破し、ストロングマン8人が融合した姿であるストロングマンエイトともう1人のストロングマンと共にデッドストロングに向けて攻撃を開始していた。

手応えを感じた彼らは全身が溶け始め悶えるイゲルド人に追い討ちを仕掛ける。


「よし、このまま行けば」


内子の慢心した発言に、十気が『油断しないでください』と真剣な声で注意する。


「はっ、はい」


気を引き締めながら〈新・バーチャマ2号機〉の操縦桿をしっかりと握り、トリガーを弾き続ける。

一斉放射に対して、デッドストロングは高く飛び上がり、なんと8機の機体に寄生し、コントロールを奪った。


「どこまでも卑怯な奴だ」


「お前達を倒せればそれで良い! 相棒達の武器ウェポンによって散れ!」


エイトの呆れた様子に、イゲルド人は激しく声を荒らげながら8機によるミサイル、バルカン、光線攻撃を開始する。


だがワームホールを展開、吸収、無力化される。


さらに人質である隊員達を外へテレポートし、救出した。


「無駄だ。お前がいくら強くなろうと、私は超えられない」


「その姿で強さを語るなぁ! 私に勝てなかった者達の集合態であるその姿でぇ!」


イゲルド人は怒りに狂った叫びを上げ8機による一斉射撃を繰り出すが、再びワームホールを展開され吸い込まれ弾切れ、エネルギー切れを起こす。


「おのれー! おのれー!」


寄生していた機体を脱ぎ捨て、巨人の姿に戻る。

そこにブルージョーが到着、ビームライフルを構え正確に射撃していく。

ビーム弾が命中し、徐々に全身が溶け始める。


「ブルージョー、丈はどうした?」


コックピットを透視し彼の姿が見当たらないエイトの質問に対し、銃のギアを切り替えトリガーを長押しする。


『丈は死神野郎との戦闘で脳に多大なダメージを受けた。これ以上の戦いをさせればあいつが壊れちまう』


「そうか」


その一言を言い残し、正義の巨人はデッドストロングに向けて両腕で十字に切る。


「ここでやられるものか!」


構えをったことで察したイゲルド人は高く飛び上がり、口を大きく開く。


「消えろぉぉぉ!」


光線を撃ち放とうとしたその時、かつて真獣だったストロングマンが火球となり悪魔に突っ込んだ。


貫通した体はすぐ様再生、しかし後ろから口を塞がれ光線が撃てない。


「は、離せ!」


そして首を縦に振った巨人に『「分かった」』と2人は察した様子で攻撃態勢に入った。


進化を続けるドリームオブブレイカーは自分に恐怖を感じていた。


このまま生きていればいずれ悪の存在に利用され、地球を破滅させるかもしれない。

その気持ち汲み取り、光を溜め込んでいく2人。


「ストロングエイトォー!」


8人の姿をしたオーラが黄金の巨人に重なり、放たれる必殺の稲妻の様な光線。

さらにビームライフルから撃ち出される光線。

2つの光を受け、2人の巨人は共に完全消滅した。


8人のストロングマンに戻った頃には夕暮れになっており、曇り無き空が広がる。


「みんな、共に戦ってくれてありがとう。再びイゲルド人を倒すことができたのは君達のおかげだ」


キズナの感謝の言葉に英二はサムズアップする。

しかし内心は寂しい気持ちでいっぱいだった。


この戦いが終わればまた宇宙に飛び立ってしまう。

10年以上前の事、ストロングマンにとって短い時間だっただろう。

しかし元人間である英二にとっては長い時間だ。


キズナがいなければ彼は正義感の強い者には成長していないだろう。

理由を作ってくれた彼、いや、彼女との別れはとてつもなくつらい物があった。


クロスの心情を心を読んで理解した正義の巨人はあえて触れず「さようなら。最高の戦友達」と口にし、宇宙へ飛び立った。



〈ジライヤ〉本部へ戻った高美と雷は丈が医務室に運ばれたとブルージョーに聞き、いち早く向かった。


「丈君の容態は?」


慌てた様子で彼女が医師に質問すると、人差し指を口に当てる。


「静かにしてください。ようやく安定したところなんですから」


「と言いますと?」


ハテナマークを浮かべた表情に、目を細めながら鼻息を漏らす。


「いいですか。丈隊員はブルージョーが故障して以降の戦闘で脳に負担がかかっていました。これ以上戦えば精神に異常をきたす可能性があります。しばらく休んだ方がいいでしょう」


「そう………ですか………」


無事であることに安堵し、それと同時に肩の力が抜けた。


「良かったじゃないか。丈があの世に飛び立たなかったんだからな。先生、ありがとうございます」


「いえいえとんでもない」


こうしてイゲルド人との戦いは終わった。


しかし〈ジライヤ〉の戦いはまだ終わらない。

怪獣や宇宙人が現れる限りは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ストロングマン・ブルースカイ ガトリングレックス @GatlingRex

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ