第13話正義の帰還
ドリームオブブレイカーが空を羽ばたく姿が報道で流れ、町は大混乱。
その光景を観たイゲルド人は苛立ち感じながらモニターを見つめる。
「なぜだ。なぜイフリートにトドメを刺さなかった。妨害はあったとは言え戦闘には支障はないはずだ」
怒りのあまり叫び声を上げ、真獣達を困惑させる。
「すまない。冷静さを掻いていた。少年達を元の世界に送り返せ。もちろん記憶を消しておけよ」
人型の真獣は主人の命令を忠実に従い次元の裂け目を開くと、連れ去った時の記憶を消しつつ洗脳を解きそれぞれの家に送り返した。
「あれ? ここは?」
数十分前記憶を失った明日は現在の状況に驚きを隠せなかった。
仮死状態のストロングマンイフリート。
ビフォーグⅡに追い詰められるストロングマンキズナ。
撃ち落とされる戦闘機。
そして破壊され尽くした住んでいる町。
「そんな。ストロングマン達が………それに丈はどこ?」
1人取り残された少年は整理が付かず戸惑っていると、救助隊が駆けつけ彼を保護しヘリコプターに乗せる。
「男の子を保護しました。これより………」
隊員が避難所に向かおうとするとビフォーグⅡがキズナに向けて放ったミサイルを光弾で撃ち落とされ、爆発による爆風巻き込まれる。
操縦が効かなくなり、回転し始めるヘリコプター。
「しまった!」
彼女がヘリコプターを受け止めようとしたその時、隙を見逃さず口からミサイルを放ってきた。
この大ピンチにイフリートが復活、ミサイルを掴み上げ握り潰した。
「キズナさんヘリコプターを早く。ハァー!」
爆発を吸収、体力を回復し〈インフェルノスラッシャー〉2枚をビフォーグⅡに向けて投げつける。
マッハのスピードで燃え上がる刃がビフォーグⅡを八つ裂きにする。
「私は所詮ご主人様の兵器………あなた達を倒すのはやはりご主人様でなければなりません………さようなら………ご主人様………」
悲しげに死を悟った彼女は爆散して行く中で、〈インフェルノスラッシャー〉が後ろから首を切断し死亡させた。
刃を大牙の頭に装填し、後ろを振り返る。
無事を確認すると、キズナが地面にヘリコプターを置き、サムズアップで返事を返す。
「それは良かったです。それよりこれからどうしましょうか。この世界に迷惑を掛けてしまいましたし、元の世界から戻る方法を私と鈍木さんは知りません」
「私が授かった〈ストロングリング〉の力なら別世界に飛ぶことができる。だが町の復興はこの世界の人間達に任せよう。これ以上影響は出してはいけない」
キズナはリングを付けた右腕を上空に
「鈍木さん行きましょう。どうやら私達は戦い過ぎてしまったようです」
「そうですね。あの真獣、一体どこへ向かったかも気になりますし」
次元の裂け目侵入、2人は彼女に着いて行った。
一方その頃桜と大はドリームオブブレイカーに大苦戦していた。
「こいつ、今までの真獣よりものすごく強くなってる」
「ちきしょう! 光線を撃ってもミサイルを撃ってもやられるどころか進化してやがる!」
攻撃を与える度希望が失わされる絶望感。
進化する度被害が大きくなる。
この状況に丈とブルージョーが到着、地面に降り立ちビームサーベルを構える。
『遅かったか。丈、何とかしてあいつを倒す方法を見つけるんだ』
「分かってる。絶対に手立てはあるはず………うっ………頭痛が………」
別世界での戦いで使い過ぎた脳が悲鳴を上げ、頭を抱える。
『すまん、後は俺に任せろ。ウヲォー!!』
ビームサーベルとシールドを収納し、ブルージョーは手にストロングマンの加護を付与する。
そしてドリームオブブレイカーの背後から掴み上げ、上空に投げ飛ばす。
「丈君、ブルージョーおかえり〜」
「喜んでる場合かぁ! やめろブルージョー! この真獣は攻撃を受けると進化するんだぁ!」
彼の言っていることはとっくに知っている。
だからこそこれは賭けだ。
(俺の計算が正しければ)
腹から光線を放とうとするドリームオブブレイカーに、上を取って両拳を唸らせる。
貫いた体にストロングマンの加護を流し込み、進化を促す。
すると全身にヒビが入り、悲鳴に近い咆哮を上げる。
砕け散る体から誕生したのは、なんと新たなストロングマンだった。
『よし、上手く行ったぞ』
ブルージョーの計算通り、ドリームオブブレイカーの進化にはパターンがある。
無闇
しかしストロングマンの加護を与えることで正義の巨人へと進化するのだ。
その光景をモニター越しに観ていたイゲルド人は今までの計画を台無しにされ、疲れ果てた様子でフラフラと倒れ込む。
主人の心配し、駆け寄る真獣達。
その時だった。
突如デッドストロングの肉片が次元の裂け目を開き、イゲルド人と真獣達を取り込んで行く。
いや、違う。
デッドストロングに戻るために、集結しているのだ。
そして復活した最凶最悪の巨人。
さらなる進化を遂げ、町に出現する。
「デッド………ストロング」
隊長がその名を口にした時、悪魔は口を大きく開き、咆哮を上げるのだった。
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