第12話奇跡の復活
イフリートにトドメを刺すべく腹から光線を放とうとするドリームオブブレイカー。
ストロングマンには仮死状態から復活した際にさらなる力を得ることができる。
そんなことをされては真獣としてはたまったもんではない。
「させるかぁー!」
そこに叫びを上げながら元斗は〈新・ガンマ3号〉のミサイルを4発発射する。
しかし背中から次元の裂け目が開かれミサイルを吸収、逆に光線として放った。
左に舵を切り攻撃を何とか躱していると、自衛隊から戦闘機が出撃して来た。
「なんで来るんだ! あんた達じゃ勝てる訳ないだろうぉ!」
嘆きの叫びが聞こえる訳がなく、ミサイル攻撃を開始する。
『邪魔だぁ!』
ノージャスティスが光の刃で目障りな戦闘機を斬り落とそうとするが、丈はビームサーベルで防がれる。
「これ以上目の前で人は死なせない!」
『俺達の戦いに水を差す奴らが悪いのだ。オリジナルを動かすパイロットよ。死人を出したくなければ、俺を止めてみせろ!』
戦いに狂い首を回す。
そして加護を全開にしバックパックから黒い翼を生やすと、神速の勢いで移動しながら光の刃を2本展開し切り刻みに掛かる。
(速い………だけど)
精神を研ぎ澄ませ、加護を全開にする。
白い翼がバックパックから生え、こちらも全力で迎え撃つ。
ビームとビームがぶつかり合い、上空で火花散る。
あまりのスピードと情報量に、丈の脳が処理仕切れず激しい頭痛に襲われる。
(負ける訳には行かない! ブルージョー! 力を貸してくれ!)
鼻血を垂らし、脳に限界が来るその時だった。
『丈、俺を勝手に殺すなよ』
「その声は、ブルージョー!?」
驚きで集中が途切れ光の刃に触れかけたが、操作がブルージョーに切り替わりギリギリで躱す。
『ようやくオリジナルのお出ましか!』
喜びと狂気に満ちた叫びを上げ、ノージャスティスは腕をスナップする。
『お前が何者かは知らない。だけどなぁ、これだけは分かる。俺が倒さなきゃいけない相手だってなぁ!』
ビームサーベルを構えると白き翼を羽ばたかせ、シールドで守りを固めつつ敵に向かって直進する。
『隙だらけだ!』
ノージャスティスの性能が加護により強化され、激しい黒き光を放つ。
ブルージョー・スワンを迎え撃とうとしたその時、内部から爆裂し始める。
『なんだ!? どうなってる!?』
『お前は力を求めすぎた。体には限界がある。それを超えようとした時、壊れていくんだよ。人も、物も』
『黙れぇぇぇ!!』
爆裂して行く彼の体、それに対して容赦なくビームサーベルを突き刺す。
そして機体から引き抜き、浴びせ
『俺の真似事なんてするもんじゃないぜ。正義の道を進まないならな』
『俺には悪も正義もない………純粋に倒したかった。お前を倒しかったんだ………』
爆裂し、地上に落下していく姿はまるで沈没する戦艦の様にゆっくりと落ちて行く。
これほどの機体のダメージが
『さらばだ………オリジナルとそのパイロット………』
別れの叫びを上げたその時、ブルージョーはノージャスティスに近づき腹部分のコアを取り出す。
『お前の想い、無駄にはしない』
『ふん………勝手にしろ………俺に呪われる覚悟があるのならな………』
爆散する黒い機体、白き翼を羽ばたかせ爆発に巻き込まれないよう上空へと飛び立つ。
「それにしてもブルージョー。コンピュータ部分がやられたのに、どうして復活できたの?」
それは当然の質問だった。
コバチ・改二との戦闘で頭部を破壊され、コンピュータは失われた。
にも関わらずなぜ彼は蘇生できたのか?
『声が聞こえたんだよ。確か男の声だったな。多分ストロングマンの偉い存在なんだろう。君はまだ壊れる時じゃない。そう言って俺を丈の元へ返しくれたんだ』
「そっかぁ。やっぱりストロングマンは僕達を見守ってくれているんだね」
ストロングマン、彼らはおそらく地球人を超えた科学力を持っているのだろう。
だからこそブルージョーを復活させることができた。
だが再開に喜んでいる場合ではない。
ドリームオブブレイカーが仮死状態の大牙にトドメを刺そうとしている。
『丈は休んでろ。向井は俺が守る』
「分かった。任せたよ」
青き親友はコアからエネルギーを抽出し、ノージャスティスの想いを流し込む。
殺意、闘争心、狂気、すべてを受け入れ力へと変えた。
ドリームオブブレイカーが光線を放とうとしたところで後ろからビームライフルのトリガーを弾き、光線を放つ。
攻撃を受け背中に風穴ができるが、すぐ様別の物に変化しブルージョーの方へ振り向く。
『こいつ。攻撃を受ける度に進化するのかよ』
夢と希望を
それが名前の言えんなのだろう。
メインカメラで弱点がないかスキャンするが、まったく見つからない。
一体どうすれば倒すことができるのか。
ドリームオブブレイカーは空に咆哮を上げ、なんと次元の裂け目を開き突入する。
「待てぇ!」
追いかけるブルージョーも侵入、すると自分達が生まれた世界の町であるAブロックに行き着いた。
着信音が鳴り、丈は急いでデバイスをズボンのポケットから取り出す。
『こちら〈ジライヤ〉です。何時間も連絡がないので隊長が心配されていましたよ』
聞き馴染みのあるオペレーターの声が聴こえる。
つまりここは本当に丈とブルージョーがいた元の世界だ。
「帰って来れた。けど向井さんと鈍木さん、キズナがまだ」
『うん? それはどう意味でしょうか?』
オペレーターの質問に彼は今までの事を話した。
別世界に飛ばされたこと。
イゲルド人が新たな真獣を生み出したこと。
別世界に2人が取り残されていること。
その話を聴いていた隊長は町の監視カメラから映されたドリームオブブレイカーを観て、冷静な判断が求められているのを理解する。
「皆国さん、子絵賀さんは真獣撃破のため出撃お願いします」
「「分かりました!」」
桜と大は声を張り上げ敬礼を行うと、司令室を出て飛行場に向かう。
〈新・バルウル〉に乗り込み、Aブロックに出撃するのだった。
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