第6話ペナルティー・デス
〈ジライヤ〉に復帰した丈は満員電車に乗り込み、偏頭痛に耐えながら右耳にワイヤレスイヤホン付け本部に向かっていた。
(ようやく復帰したんだ。精一杯頑張らないと)
その気持ちとは裏腹に体がかったるく、つり革に捕まった状態だとフラフラした。
〈ジライヤ〉近くの駅に到着し改札口でデバイスをスキャン、電車料金を支払う。
その後バスを利用し、移動して行く。
席に座ると隣にはスーツ姿の男性が居り、デバイスをいじっていた。
今の時代パソコンよりもデバイスを使っての作業が多くなっており、データ管理や整理などが簡単にできることからかなり
しかもセキュリティが強く、まるでデスクワークを行っているようだ。
バスが〈ジライヤ〉に向かっていると、ブルージョーが宇宙人の攻撃が来るのを感知した。
『丈気をつけろぉ。宇宙人がこのバスを狙ってやがる』
「分かった。とにかくここで巨大化はまずい。みんなに連絡すれば確実に殺られる。この状況は結構ピンチかも」
小声で口にした2人は隣りの男性、そして近くの民間人に聞かれたのを認識した。
丈とブルージョーは〈ジライヤ〉の隊員としてニュースに放映されている。
それを見ている人間ならば当然その言葉を信用するだろう。
「お、降ろしてくれー!?」
「運転手! 早くバスを止めろ!」
客の叫びに対し、バス運転手はため息を
すると右上側から大型の火球がバスに激突、爆発を引き起こした。
直前にブルージョーは巨大化し、コックピットに乗り込ませ丈を守る。
燃え上がるバスだった物の姿に彼らは大勢の人を守れなかったことを悔やみながら、デバイスから〈ジライヤ〉の隊長に連絡する。
「もしもし丈です」
『どうしました? なにかありましたか?』
「乗っていたバスが敵の宇宙人に攻撃を受けました。僕とブルージョーは無事でしたが、被害を出してしまいました」
悔しげな声を出す丈に反し、ブルージョーは宇宙人の位置を特定するためメインカメラでスキャンを行う。
『丈、犯人を特定した。本部に情報を送る』
隊長は受信されたデータを確認する。
『この宇宙人はシューティー星人。射撃を得意とする種族。しかも相手は指名手配されている殺し屋、名前はバディ』
「張り紙になってるのを見たことがあります。でもそんな奴がなんでこんな大規模なことを?」
殺し屋バディ。
彼はスナイパービームライフルを使用し依頼されたターゲットを射殺する。
さらに銃は怪獣のデータが入ったメモリーを装填でき、様々な射撃を行うことが可能だ。
『もしかしたらデッドストロングが寄生している可能性がありますね。戦闘部隊と隊員をそちらに送りますので待機していてください』
「分かりました」
デバイスの通話を切り、その場で制止する。
しばらくして戦闘部隊と
「殺し屋、10年以上経っても悪さをする宇宙人は無くならないなぁ」
英二は拳を強く握り、犯人に対して怒りの感情をマグマの様に沸き立たせる。
ストロングマンとしてこの星を守ることを過去の戦友と誓った彼、最初の頃はいやいや戦っていたが共に戦っていた別の星出身のストロングマンに戦うことがどう言う物かと学ばされた。
(俺達はみんなのために戦っていかなきゃならない。怪獣や宇宙人、そして真獣を倒していく。いつからだろうな。そんなことが当たり前になったのは)
30代になってより正義感が強くなった英二に、十気は相棒として誇らしい想いで着いていく。
「相手は丈隊員を狙った可能性があります。ですがミスを犯したことには勘づいているはず。油断はできません」
彼女の緊張感を煽る発言に「もちろんだ」とただならぬ責任感を持って行動するのだった。
一方その頃丈とブルージョーはメインカメラでバディの居場所を特定しようとしていた。
「ブルージョー、僕は許せないんだよ。それは自分を殺そうとしたことじゃない。民間人を巻き込んだことだ」
『俺だって。人を救えなかったことが、本当に悔しい』
会話をしながら細かくスキャンし続け、犯人の位置を視認した。
『バディを発見。クソ、俺達を狙って上がる』
「だったらテレポートで!」
瞬間移動で上空に移動、射線を外す。
(チッ、やっぱり1発で決めなきゃ無理か。ふん、寄生した奴が俺を蝕みに来やがった。どうやらお客様は1度の失敗も許してはくれないようだな)
体に痺れを感じ、悶えながらバディはスナイパービームライフルを落とす。
『残念だ。成功すれば報酬が待っていたものを』
「殺す気満々だったお前さんがよく言えたもんだな。まあ良いさ。ストロングマンの仲間をターゲットにした時点で死ぬのは分かっていた」
息を荒くし、壁越しに座り込む。
そこに英二と十気が到着、彼女の持つビームガンの銃口は太陽の日差しで輝く。
バディのデッドストロングに支配された挙句死にかけた姿、英二にとってそれは罪人と被害者の両面を見ているようだった。
「殺し屋として………殺される覚悟はできてる………1つ教えてやる………イゲルド人は蘇った………まあ真獣が出て来ている時点で知っているかもしれないがな………」
最後の言葉を言い残し息を引き取った彼の口からデッドストロングの肉片が飛び出し、どこかへ消えた。
「イゲルド人が、生きている」
「これが事実ならさらに強大な存在になっているはずです。必ず倒しましょう。あの悪魔を」
1度人質になった経験を持つ彼女だからこそ分かる。
ストロングマンを倒すためなら彼はなんでもすると。
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