第5話時間稼ぎは無駄ではない
迫り来るダークストロングマンの2人。
悪魔達のドロップキックを受け、〈新・バルウル〉と〈新・バーチャマ〉は後退りする。
「抜け殻が俺達に勝てると思うなぁ!」
「偽物なんかに………負けない!」
内子は両腕のロケットパンチを発射し、追撃の光線を放つ。
6本の腕で攻撃を防ぐジャシン。
しかしあまりの破壊力に両腕が吹き飛び、再生するが今度は光線をくらい封じられてしまう。
「皆国! 高市! 俺達が戦ってる間に体勢を立て直せ! 〈ジライヤ〉を舐めてもらっちゃ困る!」
大は分身を作り出し、バイオレンスに向かって光線を放つ。
段々と怯み始める悪魔に追い討ちのバルカン攻撃で膝を着かせる。
「わ、分かった」
「頼んだよ2人共」
チョウカイとザードはお互いに首を縦に振ると高く飛び上がり、その場から撤退する。
そうはさせじと腕を再生させジャシンは漆黒の光弾を放つが、内子のミサイルに打ち消される。
「あなたの相手は私よ! かかってきなさい!」
彼女の発言に対し、思い切りため息を着く。
「我々はストロングマンを倒せればあとはどうでもいい。お前達には傍から興味などない」
「あなたはそうでしょう。だけどこっちは命を背負ってるの。地球上の命をね!」
ブースターで一気に距離を詰め、内子はラリアットを繰り出しジャシンの首を持っていく。
だがすぐ様再生を行われ逆に掴み上げられる。
「あえて言おう。お前達の技術で我々に勝てると思うな」
悪魔はそう語り力任せに〈新・バーチャマ〉のボディを潰していく。
バキバキと音を立てながら破壊されていき、パイロットは脱出装置で撤退を余儀なくされた。
完全に潰された機体を見て、悔し涙を流す。
「すいません。バーチャマをやっちゃいました………」
『よく持ちこたえた。あとは俺が時間を稼ぐ』
光線を放ちながらバイオレンスから距離を取り、ブースターで上空へ上昇する。
「まったく。無駄なことを」
鋭い鉤爪にエネルギーを集中させ、大に向かって斬撃を飛ばす。
しかし攻撃を受けたのは分身であり本体ではなかった。
「なに? まあいい。ジャシン、人間に構っているぐらいなら我々の空間に入った方が時間を浪費しなくて済むのではないか?」
「それもそうだな。遊びは終わりにしよう」
2人のダークストロングマンは次元の裂け目を開き、正義の巨人を倒すべく飛び込んだ。
「クッ。皆国、そちらにダークストロングマンが向かった。短い時間だったが休めたか?」
デバイスで通話すると、元気そうに『うん!』と返事が返ってきた。
『十分すぎるぐらい休憩できたよ! ありがとね!』
「ならいいんだ。さっさと倒してお昼でも食おうぜ。じゃあ迎えに行くからまたあとでな。」
微笑みながら通話を切ると、脱出した内子を〈新・バルウル〉に回収する。
デバイスの現在地を割り出し、迎えに向かうのだった。
次元の裂け目が開かれ、標的を捉える。
そこはAブロックに存在する山奥だ。
「見つけたぞ。さあ戦え!」
バイオレンスの殺意と闘争心から放たれる叫びに、桜とアツは顔をお互いに見つめ合い首を縦に振る。
そして決意に満ち溢れた表情で悪の巨人を睨みつける。
「チョウカイーーーーー!!」
「ザードーーーーー!!」
2人の叫びが正義の巨人へと姿を変え、悪魔達に制裁を下すべく立ち向かう。
「見せてやろう。お前達と違った進化を」
ジャシンは全身に巻かれた闇の輪である〈シャドウリング〉を黒きオーラを纏った6本のナイフに変化させ、チョウカイに向けて投げつける。
それに対して次元の裂け目から盾を取り出し、桜は攻撃を防ぐ。
弾かれたナイフだったが散らばると思いきや、宙で方向を変え彼女に襲いかかる。
「そんな攻撃で進化したなんて言わせてない!」
次元の裂け目を開き6本の剣を射出し、さらに念力で追尾する闇の刃を防ぐのを繰り返した。
「そう言えるのも今のうちだ。覚悟してもらうぞ」
ジャシンが余裕のある口ぶりでナイフをガトリングガンに変化させ、銃口をチョウカイに向ける。
「ファイヤー!」
バレルが回転し、撃ち出される銃弾の雨。
それは10年以上前、高校生だった桜がダグーと言う怪獣を倒した際に使用した戦いを連想させた。
集中砲火され、大ピンチを迎える。
いや、そんなことはない。
(私はストロングマンなんだ。絶対に負ける訳にはいかない)
桜は1本の剣を次元の裂け目から引き抜き、銃弾を次々と切り裂きながら一気に加速し前進して行く。
「てやーーー!」
光のオーラを纏わせ、ジャシンに向かって真っ直ぐ振り下ろす。
両断された悪魔は再生しようとするが、全身が光に包まれ浄化されて行く。
(まずい!? このままでは完全に消滅させられる!?)
悪の巨人は危機感を感じ、体をスライム状に変化させその場を逃げ出す。
その姿を見たバイオレンスは再生能力が通じない相手だと判断、デッドストロング復活のためのピースである自分が倒されることは許されない。
「我々は所詮ご主人の素材に過ぎない。覚えておくがいい、我々が進化したと言うことはデッドストロングがさらに進化してお前達を倒しに来ることを!」
そう言い放ちスライム状になると、地面に染み込まれて行った。
桜とアツは共に変身を解除し、正体がバレない様にその場から距離を取る。
「高市さん、子絵ちゃんが迎えに来てくれるから待ってよ」
「分かった。皆国ちゃん、もしデッドストロングが復活したら、どうする?」
アツの質問に対し、笑顔で桜は腰に手を当てる。
「そうなったら倒すだけ。ストロングマンなんだから当然でしょ」
「そう………だよね」
温度差を感じた彼女は苦笑いをしつつ、倒せる訳がないとデッドストロングへの恐怖を思い出すのだった。
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