第4話ダブルターゲット
2日後、丈は気だるさと発熱から実家で休息を取っていた。
それは疲労と戦闘部隊の兵士の死による深いトラウマからの物だった。
「丈、今回ばかりは休んで起きなさい」
母親が心配の表情で鼻息を立てながら部屋のドアをゆっくりと閉める。
異常なほど全身が暑く、寝苦しい。
それでいて汗が止まらない。
母が置いてくれたミネラルウォーターが入ったペットボトルを取ろうするが、全身にピリピリと痛みが走り寝所から出られない。
「ブルージョー」
『なんだなんだ? そんなに
そばに置かれている彼は驚いた様子で音声を流すと、今度は咳をし始め止まらなくなった。
一方その頃剣道部の実力者であった赤髪の女性、
スクーボルバーとアサビートルは2機を視認すると頭の銃口を向け、射撃を行う。
大は〈新・バルウル〉の機能である分身を形成し、銃弾を回避、地上に降り立つ。
「いくら正確な射撃でもなぁ、当たらなきゃ意味がないんだよ!」
腕のハサミから光線を放ち2体を
「皆国、頼んだぞ」
「分かった。あんな奴らすぐに倒してやるんだから」
桜は光に包まれストロングマンチョウカイに変身する。
十字の眼、銀色のボディに2本の黄色きラインが存在する。
地上に降り立ち次元の裂け目を開き黄金の刃を持つ大剣を引き抜く。
「行くよ」
点灯する十字の眼から稲光の様な光が放たれ、息を吸い2体に向かって走り出す。
それに気がついたスクーボルバーは次元の裂け目を開き侵入、アサビートルはその大きな羽で上空に飛び立ち銃弾を連射する。
しかし後ろから内子が〈新・バーチャマ〉の右腕に搭載されたロケットパンチを繰り出し、連射銃真獣の背中に命中した。
突然の攻撃に口からヨダレを垂らしながら急落下、地面に激突する。
「高市さん今です!」
「オーケー。真獣、覚悟してもらうよ」
アツは光に包まれて行き、ストロングマンザードに姿を変える。
頭の2本の角、黄色く発光する眼には黒目が存在し、銀色のボディに黄色のラインが入っている。
冷気を放出し後ろから奇襲を仕掛けたスクーボルバーを氷漬けすると、振り返りながら角で相手を貫かんとする。
だがすぐに氷を破壊し、頭の銃口から銃弾を射出された。
冷気が充満している状態、一瞬のうちに銃弾が凍りつき、ザードはパンチで粉砕した。
唖然とするスクーボルバーに向けて追い討ちの突進攻撃〈ホワイトベアオブブレイカー〉を繰り出す。
加速して行く彼女の走りが冷気を
「終わりだぁーーーー!!」
それはまるで新幹線の走り、突っ込んだ瞬間真獣の体は血吹雪を上げ凍りついていく。
粉々になった体は次々に爆裂し、その爆風すら氷と化した。
「皆国ちゃん、今加勢する」
後ろを振り返りながら両手で拳を作ると、アサビートルに向かってパンチを角に繰り出す。
それによって折れ曲がった角は暴発を引き起こし、仕方なく着脱する。
地面に落下した角を見つめ怒り新党になると、ヨダレを大量に分泌しダイヤモンドカッターの様に発射、2人の巨人はスレスレで躱す。
ビルからビルに貫通し、崩れていくのを目の当たりにし改めて相手の危険性を知った。
「私達はあれの存在を否定しなければならない。必ず倒してみせる」
アツは両腕をピーンと伸ばし、X字に交差させエネルギーを集中させる。
「たとえあなた達に呪われようと、それでも戦うよ」
桜は次元の裂け目を大量に開き、ビームライフルの銃口を向ける。
「アイシード冷凍光線!」
「全弾、発射!」
L字で放たれる青き光線。
ビームライフルから連射される黄色き光弾の雨。
アサビートルは慌てて攻撃を躱そうとするが、間に合わず命中し爆散した。
光線を撃ち終わり、膝を着いた彼女達。
その前に現れたのはなんと10年ほど前に倒したはずのダークストロングマン、タイバツの強化態バイオレンスとアシュラの強化態ジャシンだった。
「ダークストロングマン、復活したのか? いや、デッドストロングの肉片から産まれた紛い物か」
大が発言したダークストロングマンとは、かつてイゲルド人がストロングマンのデータを元に開発した人造ストロングマンと人間の憎しみを融合させた存在の事である。
しかし彼らはデッドストロングの素材に過ぎず、強化態など現れるはずがなかった。
バイオレンスとジャシンは牙をむき出しにし、咆哮を上げながら桜とアツに襲いかかる。
迫り来る敵に対して蓄積した疲労から動けない2人。
そこに〈新・バルウル〉と〈新・バーチャマ〉が加勢し、光線を撃ち放つ。
命中したもののすぐ様再生していき、高く飛び上がりドロップキックを繰り出されるのだった。
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