第2話刃の追跡者
真獣の復活を受け〈ジライヤ〉は10年ほど前に撃破した最凶最悪の巨人、デッドストロングの肉片が町に飛び散ったことを特定した。
このままでは怪獣がさらに強化され、倒される度に肉片が飛び散ることでさらに真獣が誕生してしまう。
そんな中丈は夜9時頃に母の待つ実家に帰宅する。
「ただいまー」
「おかえり。どう? 〈ジライヤ〉での仕事は」
母の質問に彼は手を洗面台で洗いながら返す。
「最近真獣ってのがまた現れたんだ。だから僕とブルージョーの力がより必要になるって言われたよ」
「そう。でもすごいじゃない。2人の事を隊員として認められてるんだから」
本当は戦ってほしくなかった。
戦場に出撃すること、それは死と隣り合わせ。
最愛の息子が玄関へ向かい、見送る度にいつも体が
「ごはんは食べた?」
「うん。食べたよ」
「なら良いんだけど。丈、絶対に無理はしないでよ。あなたはこの世で1人しかいないんだから」
心配の言葉を掛けると丈は「ありがとうお母さん」と笑みを浮かべながらリビングへ共に向かうのだった。
次の日、〈ジライヤ〉に到着し司令室に向かっていると戦闘部隊が宇宙人の死体が入ったボックスを運んでいた。
戦闘部隊とは侵略を目的とした宇宙人と戦い、駆除を行う部隊の事である。
特殊能力を持っていない彼らはアーマーを装着し、アサルトライフルに偽装したビームライフルで敵に立ち向かわなければならない。
その苦労は相当な物で、今週中に入院した兵士は3人、今月で20人にも及ぶ。
(大変だなぁ。いつもお疲れ様です)
ビシッと敬礼しつつ歩みを進めると、サイレンが鳴り響く。
『Bブロックの山奥に怪獣が出現。
オペレーターのアナウンスに丈は廊下を駆け抜け飛行場に向かう。
その道中次元の裂け目が開き、2本の剣を持った黒き鎧の騎士、斬撃真獣寄生アーマーガイⅡが出現した。
「し、真獣!?」
『気をつけろ! こいつデッドストロングが寄生してるぞ!』
二刀流の剣を構え、姿勢を低くする真獣。
「いざ尋常に、勝負」
掛け声と共に走り出す敵に後ろを振り返りその場から逃げる。
「あんなのに勝てるわけないじゃん!」
弱音を吐きながら勢いをそのままに、デバイスを取り出し隊長に電話を掛けようとする。
「逃がさん」
だが寄生アーマーガイⅡが突然目の前に現れ、両手で2本の剣を振りかぶり斬りかかって来た。
(よ、避けれない!?)
このままでは死は確実。
絶望的状況に思わず目を
「撃てぇー!」
掛け声と共に聞こえてくる銃声。
「邪魔を、するな」
「敵は丈隊員を狙っている! 絶対に死守しろ! 残りの3人は護衛にあたれ!」
兵士3人は命令通り丈を護衛しながら飛行場に向かう。
「助けてくださってありがとうございます」
「当たり前の事をしたまでです。それより怪獣を倒すことが先決。侵入者は我々に任せてください」
廊下を駆け抜けていると、次元の裂け目が開かれ血まみれの剣を2本持った寄生アーマーガイⅡが目の前に姿を現した。
「次はお前だ。青き戦士を操縦する者」
剣先を丈に向け、殺害予告を堂々と言い放つ。
「こいつ、隊長達をこの短時間で倒したのか………」
「丈隊員は下がってください。私達の命に代えてもお守りします」
ビームライフルを真獣に向け連射モードから光線モードにチェンジする兵士達。
トリガーを弾き、水色の光線が放たれる。
すると寄生アーマーガイⅡは剣をバツの字にし、攻撃を防ごうとする。
だがその威力はストロングマンの光線に匹敵する物で大きく吹き飛ばされ窓に激突しかけた。
「甘いな」
余裕の言葉を告げ次元の裂け目を窓に開き、侵入後天井から襲撃を仕掛ける。
しかし時既に遅し、そこには彼らは居らず着地するまもなく低い呻き声を上げながら次元の裂け目を開いた。
一方その頃丈は飛行場に到着、ブルージョーのコックピットに乗り込み出撃する。
恐怖の逃走に打ち勝ち疲労が残る中、汗ダラダラの状態で戦いに挑む。
その前にデバイスで
「もしもし、真獣が本部に侵入して来た。戦闘部隊が対応してるけど僕を狙ってるみたい」
『そんな状況で大丈夫なの? こちらはデッドストロングに寄生された怪獣を撃破したから〈ジライヤ〉に戻るけど』
連絡の途中、突然次元の裂け目を開かれ、巨大化した寄生アーマーガイⅡが殺意をむき出しにし現れた。
「真獣がぁ、しつこいんだよ!」
あまりの敵のしつこさにブルージョーの操作を自分に切り替える。
『どうしたの!?』
「真獣が奇襲を仕掛けて来た! 早く戻って来て! 僕達だけじゃこいつは倒せない!」
焦りの指でデバイスの電話をマイクからスピーカーに切り替え、横に置くと操縦桿を握り直す。
ビームサーベルをバックパックから左手で引き抜き、〈ジライヤ〉の兵器開発部によって作成されたミサイル搭載型ビームシールドを展開する。
「ミサイル、発射!!」
ミサイルで
爆風に突っ込むと目の前に敵はいない。
『丈! 後ろだ!』
「だったらテレポートで!」
操縦桿の隠しギミックを使用、テレポートで寄生アーマーガイⅡから放たれる斬撃を回避する。
そして相手の後ろからビームサーベルを逆手に持ち、投げ槍の如く敵に勢いよく投げつける。
鎧と肉体が貫かれるも動じることなく彼らに向けて振り返り、剣を振り下ろす。
その時だった。
ようやく到着した
「丈、大丈夫か?」
「うん。結構ギリギリだったけどね」
寄生アーマーガイⅡは飛行場の地面に叩きつけられ、アスファルトにヒビが入った。
「ストロングマン………ストロングマァァァン!」
奇声を上げながらすぐ様立ち上がり、剣をブンブン振り回す。
「やはり寄生されているイゲルド人の意思を受け継いでいる訳か。だが冷静さが欠けているところを見るに理性が少しばかし飛んでいるらしいな」
ゆっくりと地面に降り立つ正義の巨人。
頭に青き装甲〈
それはまさに幻獣であるドラゴンを彷彿させた。
「仲間にその刃を向けたこと、後悔させてやる。覚悟しろ!」
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