ストロングマン・ブルースカイ
ガトリングレックス
イゲルド人の復活への恐怖編
第1話再来の真獣
デッドストロングが倒されてから年月が経ち、少年だった丈は20歳となった。
配属している地球防衛隊〈ジライヤ〉では若き先輩として後輩から
彼はリュックサックから父からの誕生日プレゼントである人工知能付き小型人式の青いロボット、ブルージョーを取り出す。
「今日も頑張ろうな。ブルージョー」
笑みを浮かべながらそう言うと、相棒は返事を返すためコンピュータで一瞬で言葉を整理し、声を発声する。
『あぁー! でも頑張りすぎてへばるなよ』
「アハハ、分かってるよ」
2人の仲の良さは〈ジライヤ〉の者達が良く知っている。
その微笑ましい光景は基地の名物だ。
そんな中司令室に向かっていると、同僚に近い存在であり正義の巨人ストロングマンである40代の女性隊員、
「おはよう丈君。おはようブルージョー」
「ガハハ! 2人共元気そうで何よりだ」
元々丈は高美がスカウトした少年だった。
最初仲が
大人になった彼は何やら照れくさそうに
「顔が赤いわね? 熱かしら?」
「ち、違うよ」
彼女の子どもに接する態度に、丈は恥ずかしそうにすぐに目を逸らす。
雷とブルージョーはその光景にニヤニヤしながら司令室に到着した。
成長に連れ彼の中で高美への恋愛感情が芽生えていた。
現在独身である彼女、歳が離れているとは言え結ばれたい気持ちは本物だった。
しかしそれを声に出せないのがとてももどかしい。
自動ドアが開き、司令室に入るとそこには還暦になった前隊長に代わって就任した女性の現隊長がイスに座っていた。
歳は40代ほどで上の者としては若い印象を受ける。
「隊長。陣、岩歯、丈が着任しました」
高美が隊長に到着したことを報告し、3人は敬礼を行う。
「3人共おはようございます。皆さんが揃うまでしばらくお待ちください。揃ったらミーティングを始めます」
「「「分かりました」」」
こうして〈ジライヤ〉の1日が始まる。
数10分後、全員が揃ったところでミーティングが開始される。
隊長は立ち上がり大型のモニターに映像を表示しながら説明をする。
「これからミーティングを開始します。今回はモニターに映されている怪獣、ナッダーの撃退依頼が出ています。これはカマキリの突然変異で、鎌部分で強力な打撃攻撃を仕掛けてきます。オペレーター達と能力を総合し、今回は
「「分かりました」」
2人は出撃に備えると、丈が不思議そうに自分の顔を人差し指で指す。
「僕は行かないんですか?」
「もちろん行ってもらいます。丈隊員そしてブルージョー隊員の活躍も期待してますからね」
隊長は彼に期待を寄せている。
これには理由があり、丈の実績を前隊長から聞かされているためである。
それだけではない。
正義感の強さ、そしてブルージョーと友情コンビであることが信頼を彼女に与えていた。
飛行場から〈新・ガンマ3号〉に乗り込み出撃する大牙と元斗に続いて丈はリュックサックから相棒を取り出す。
「ブルージョー、行くよ」
『おう! 俺達なら絶対勝てるさ!』
青きロボットは気合いを入れると光に包まれていき、巨大な人型起動兵器に変化を遂げる。
赤いメインカメラで地上の状況をスキャン、安全を確認しながらバックパックで上昇し出撃した。
元斗からデバイスに着信が入り、ブルージョーに操作を交代する。
「もしもし」
『元斗だ。ターゲットがAブロックのビル街に出現したと言う情報が入った。これよりそちらへ向かう』
「分かった。相手が誰だろうと、人を脅かす奴は僕達が倒す。よーしやってやるぞー!」
〈新・ガンマ3号〉とブルージョーがビル街に到着すると、
「なんだ? 映像で観た個体と明らかに違いますよ?」
その姿は黒く、メスのカマキリの面影は残っているがモニター越しに観たナッダーとは変化が見られる。
まず黒光りした装甲、黄色くそして赤く血走った複眼、すべてを吹き飛ばす黄色き羽、巨大な鎌状の腕から破壊したビルの中にいた人々の血が染み付いている。
「これより攻撃を開始する!」
元斗は寄生ナッダーにミサイルを連射する。
しかし鎌によるパンチ連打を受け、破壊されて行く。
続いて丈がビームライフルの銃口を向け、射撃を行う。
すると怪獣、いや真獣は次元の裂け目を開き攻撃を回避する。
「あれは真獣の戦い方。イゲルド人は過去に倒したのに、まだ真獣の生き残りがいたのかな?」
丈が言う真獣、それはイゲルド人と言う異星人が産み出した怪獣を超えた存在である。
だがイゲルド人は8人の正義の巨人とブルージョーが倒したはず。
「とにかく倒すしかありません。ストロングマンとして、恥のない戦いをして見せましょう」
そう言って大牙は光に包まれ、正義の巨人ストロングマンイフリートに変身を遂げた。
銀色のボディに黄色きライン、2枚の燃えし刃〈インフェルノスラッシャー〉を頭に付け、光りし眼には黒目が存在する。
熱き血液が蜃気楼を作り出し、拳を強く握る。
相手の次元の裂け目から繰り出される攻撃はまさに予測不能。
(ならばその攻撃、燃え上がらせていただきます)
イフリートは
上空から次元の裂け目を開かれ、落下しながら打撃を繰り出してくる寄生ナッダー。
だがあまりの熱発から全身が燃え始め、苦しそうにバランスを崩す。
その隙を見逃さず、鎌状の腕を掴み上げ、地面に叩き付けた。
そして両手に赤きエネルギー弾を作り出す。
「これで終わりです! ボルケーノエンド!」
ゼロ距離から放たれた攻撃を受け、真獣はあまりの破壊力に耐え切れず爆散した。
その光景をテレビで放映されているニュースで観た白髪の20代女性は何やら喜びの笑みを浮かべながら涙を流す。
(ご主人様は不滅、必ず復活されると信じておりました)
感激し手と手を重ねると、次元の裂け目を開きその場から姿を消すのだった。
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