第85話


「先生〜、今日は何するんですかー?」


「俺バスケがいいです!!」


「いやいや、サッカーだろ!!」


「俺は持久走してぇ!!」


「「お前は引っ込んでろ体力馬鹿」


グラウンドに生徒たちの意見が飛び交う。


俺が青銅の鎧のクランリーダーである天月を退けた翌日。


この日は、1時間目から体育の授業だった。


俺は今現在、体操服に着替えてクラスメイトと共にグラウンドに出てきていた。


ちょうど先ほど準備運動が終わったところで、生徒たちは自分たちの希望の種目を、体育教師に対して好き勝手口にしている。


だが、そんな生徒たちの希望を一掃する形で体育教師がいった。


「うるさい!!黙れお前たち!!今日やるのはスキル実技だ!!異論は認めない!!」


「「「「うおおおおおおお!!!」」」」


「「「「えぇ〜〜〜…」」」」


体育教師のそんな宣言に対し、男子からは雄叫びが、女子からは不満の声が漏れた。


スキル実技。


それはこの世界にダンジョンが出現し、全ての人類がスキルを授かってから体育の授業に組み込まれた新しい種目だった。


簡単に言えば、二人一組でのスキルを使った鍛錬だ。


互いに怪我しない程度にスキルを使って戦い、互いのスキルの戦闘力を高めようというものだった。


この種目は、男子には非常に人気があるが、荒っぽいという理由で女子には極端に人気がない。


国が、より優秀な探索者を育成するために実施した制度だが、いまだに賛否が分かれているのだ。


「それじゃあ、二人一組になれ〜、5秒以内だ!!5、4、3、2…」


体育教師がカウントダウンを始める。


時間が非常に短く、人を選んでいる暇などない。


「安藤くん、僕とやらないかい?」


「いいぞ」


結果的に、俺はすぐ近くにいた気弱そうな男子……広瀬に声をかけられてペアを組むことになった。


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