第31話


俺は大規模班攻撃を使ってダンジョンから地上へ溢れたモンスターを一気に駆除した。


残ったモンスターたちが、探索者たちの手によって掃討されるのは時間の問題だった。


「勝てる!!勝てるぞ!!」


「モンスターは残り少しだ!!」


「みんな!!がんばれ!!勝利は目前だ!!」


探索者たちは己のスキルを駆使して、モンスターたちと勇敢に戦っている。


俺は前線を移動してモンスターを駆除しつつ、逃げ遅れた一般人がいないか探していた。


「たす…けて…」


「ん?」


どこからかか細い声が聞こえてきた。


近くの瓦礫の中からだ。


「おーい、誰かいるのか?」


「たす…けて、誰か…」


どうやら誰かがこの瓦礫の下敷きになっているようだ。


俺は素手で瓦礫をどんどん取り除いていき、その中に埋もれていた男性を救助する。


「大丈夫か…?」


「あ、足が…俺の足が…」


男性が自分の足を見ながら涙声をあげる。


見れば、膝から下が、ひしゃげ、潰されていた。


どう見ても立って逃げられる状態じゃなく、このままだと出血多量で死んでしまうだろう。


「待ってろ。今治療するからな」


俺はすぐに回復魔法を使って男性の足を治療した。


「お、俺の足が…!元通りに…!」


みるみる回復していく自分の足を見て目を丸くする男性。


「あ、あんたのスキルなのか…?」


「あ、ああ、そうだ。怪我を治すスキルなんだ」


「ああ…ありがとう…!命を救ってくれた挙句に怪我まで治してくれるなんて…あんたは天使だ!!神様だ…!本当にありがとう」


咽び泣いて感謝する男性。


「助かってよかった。俺は他にも怪我人がいないか、探しに行かなくてはいけないから、そろそろ…」


「そ、そうだなっ。すまん引き止めて」


「いや、いいんだ」


慌てて俺を放した男性に、俺は笑顔を向けてから、次の怪我人を探しにいく。


前線をぐるりと一周したところ、他にも放っておけば命を落とすほどの致命傷を受けた市民が十名ほど見受けられた。


その全員を治療する頃には、モンスターは探索者たちによってあらかた掃討されていた。


「うおおおおおおお!!!」


「勝ったぞおおおおお!!!」


「おっしゃあああああああ!!!」


「みたかモンスターども!!これが人類の力だ!!!」


あちこちで勝利の雄叫びが上がる。


また街を守った勇敢な探索者たちに、市民からエールが贈られる。


「ありがとう!!探索者たち!!」


「感謝するぞおおおお!!!」


「俺たちの街を守ってくれてありがとう!!」 


住民たちは口々に探索者たちに感謝の言葉を言って、拍手を送った。


周囲が温かい空気に包まれる中、やがて『〜モンスター・ハザードは掃討されました〜』というアナウンスが響き渡るのだった。






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