第30話
ハザード・ボスを討伐した俺は、残りの雑魚の掃討戦に参加することにした。
「しかし、数が多いな…」
俺はぐるりと周囲を見渡す。
目算で千匹。
それぐらいの数はいる。
すでに街中に侵入してしまったモンスターも合わせると、千数百匹くらいにはなりそうだ。
一匹一匹倒していたんじゃキリがない。
ここは範囲攻撃の魔法を使うのが得策だろう。
「一般人は…避難、出来てるよな?」
範囲攻撃魔法の弱点は、広範囲に効果を及ぼせる故に一般人を巻き込んでしまう可能性があることだ。
俺は周囲を見渡して、逃げ遅れている市民がいないか確認する。
駆けつけた探索者の尽力のおかげか、逃げ遅れている市民は1人も目視できない。
存分に魔法を使って良さそうだ。
「ふぅうううう…」
俺は体内で魔法の元となる魔力を練り上げ、周囲一帯に効果を及ぼせる範囲魔法を発動する。
「グラビティ」
ズゴゴゴゴゴゴ…
使ったのは古代魔法の一つ、重力操作。
周囲一帯に、通常の五倍以上の重力をかけて、モンスターを縛り付ける。
『ギャアアアアア!!』
『ウガアアアアアア!?』
『ギエエエエエエエ!?』
地面が陥没し、あちこちからモンスターたちの悲鳴が上がった。
今や周囲には満足に歩けているモンスターは一匹も存在しない。
俺はモンスターの動きを封じた状態で、さらに魔法を畳みかける。
「インフェルノ」
使い勝手のいい、火属性の最強魔法、インフェルノ。
周囲に灼熱地獄が誕生し、重力によって縛り付けられていたモンスターはなすすべなく紅蓮の炎に焼かれていく。
『『『『……ァアアアアアアアアアアァァ』』』』
いくつも重なったモンスターの悲鳴がだんだんと小さくなっていく。
俺は全てのモンスターが焼かれ、死に絶えるまで、周囲の炎に魔力を注ぎ続けた。
やがて周りに動いているものは見当たらなくなる。
魔力の供給をたち、徐々に炎が鎮火していった。
そして、完全に治る頃には、当たりには黒焦げとなった死体がたくさん転がっていた。
「よし…だいぶ仕留められたな」
今のでダンジョンから出てきたモンスターの
大方を仕留められた。
まだ全体の1割程度が残っているが、ここまで減らしておけば、あとは残りの探索者たちが
片付けてくれることだろう。
「ふぅ…」
ひとまずするべきことを成した俺は、ハザードの中心地で1人、安堵の息を吐くのだった。
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