第33話
帰りがけの友達何人かに、ゴミ拾いの姿を見られて笑われた。
笑われたけど、1人の男の子はバッグに中に入ってたコンビニ弁当のゴミをくれて、私の差し出したビニール袋に放り込んだ後、まだ半分くらい残ってた1リットルの麦茶のパックを空にしてわざわざゴミを作ってくれた。
「櫂にやるゴミはねーぞ!」
ケラケラっと笑ったその人は、私の背後に向かってそう叫ぶ。
振り返ると、矢代が1人で歩いてくるところだった。
「俺はもう終わったし」
私の横へ立って、しれっとした顔で矢代が言う。
「うっそ、早くない? 私まだ半分も集まってないよ」
「パックの自販機のとこにあるゴミ箱漁った」
「ずっる!」
衝撃を受けた私とは違って、男の子たちは大笑いだった。
「はる。手伝ってやるから早く終わらせろよ、ほら」
男の子たちに「じゃーな」と言った後、私の手からトングを奪いって矢代が急かす。
「ほらって言われても、トングなきゃ拾えないじゃん」
「んー、じゃ、手っ取り早く野球部の部室に行くか」
「え、それって外周じゃないじゃん」
「気にすんな、大丈夫。だいたいお前はなんでもバカ正直すぎなんだよ」
ニヤッとした矢代はなかなか見られない。
やめてほしい。
そんな顔を見たらまた恋をしてしまう。
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