第22話
今度はちゃんとした告白ができそうだと思った。
しっかりと矢代の目を見て、その理由もたっぷり長々とくっつけて、あなたが好きですって心からの甘い告白。
私がした八つ当たりのひどい告白とは全く違う正反対のやつ。
でも今それを言ったところで矢代が困るのはわかりきってるから、もういっそのこと全部を取り消してしまって友達でいるって選択もありだと思った。
それを矢代が許してくれるなら。
アズにもカノコにも訂正して、もう絶対に矢代を好きだなんて言わないように思わないように鉄壁の努力するからって、それで出来る限り長い間、矢代の友達でいようかなって。
そうやって真面目に考えて、ちゃんと考えて、でもそれも無理だなって感じてしまった。
だって、こんなにも触れたいのに。
指を絡めて手を握りたいとか、それが無理ならちょっと腕に触れたいとか。
そう思っている以上、私は友達に戻れない。
「せっかく日直をやり直したのにはるは俺を見ないし、テンツクがお前に仕事を押しつけたせいで話もできなかった。その上、お前は玉っちとめっちゃ楽しそうに笑うし、俺とは行かなかったくせにマック行くとか言うし」
ガリガリとかいたせいで、矢代の額には赤い線が何本もあった。
私はそれを眺め、矢代の声を水の中にいるみたいにふわふわ聞いていた。
「今日だってお前、ずっと寝てんじゃん。授業中ですらずっと。なんかイラついてるし、誰とも話さねーし、さっさと帰るし」
耳と顔を赤くして、額にいくつも赤い線を作って、矢代はもう私を見なかった。
その横顔を、遠慮なく見る。
遠慮なく見つめて、それで頭の中で矢代の言葉を繰り返して、繰り返して、繰り返してから笑った。
「昨日いたの? 帰ってなかったの?」
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