地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される

銀翼のぞみ

一章

プロローグ  主人と奴隷(恋人たち)の朝

 朝——。

 差し込む陽の光と小鳥たちのさえずりで、少年の意識は覚醒していく。


 名は、“十六夜舞夜イザヨイマイヤ”。

 小柄な体に、艶のある黒髪とパッチリとた黒目、少女の様な愛らしい容姿をした少年だ。


 そんな舞夜の顔を、むにゅんっ。

 と、柔らかな感触、それと甘い匂いが包み込む。


「おはようございます。ご主人様っ」


 顔をあげれば、1人の美少女が優しく微笑みかけてくる。

 その首には鋼鉄の首輪。

 彼女は舞夜の奴隷だ。


「おはよう、“アーシャ”」


 アーシャ……本名は“アリーシャ”。

 腰まであるプラチナブロンドの髪、涼しげだが慈愛を感じさせるアイスブルーの瞳、白磁の肌と舞夜の顔を包み込んでしまえるほどの豊かな双丘……まさに絶世の美少女——。


 そんな彼女のある部分が、ピコピコと上下する。

 少しとがった長い耳。

 アリーシャはエルフだ。


 アリーシャの胸に抱かれながら、朝を迎える。

 これが、舞夜の1日の始まりだ。


「ご主人様は、まだおねむの様ですね? ふふっ、いい子いい子です」


「こらやめろ。あ〜、ダメになる〜……」


 舞夜の眠たげな表情を見ると、アリーシャは、彼の頭を更に自分の胸の中に深く抱き込み、優しく撫で上げる。

 舞夜が抗議の声を上げるが、それは無駄だ。


 アリーシャは奴隷でありながら、舞夜を愛している。

 ゆえに、彼をどこまでも甘やかしたがるのだ。


「さぁ、たくさん甘えて下さい。そして今日はこのまま1日……ふふっ」


 かと思えば、あまあまモードから一転。

 獲物を狙う様に目を細くし、薄く口もとを歪め、妖艶な表情を作り出す。

 そして、刺激・・を与えてくる。


 通称“エロフモード”に突入だ。


「ねぇ、淫魔なんでしょ? エルフじゃなくて淫魔なんでしょ?」


「ぜひ確かめて見て下さい。ほらほらっ」


「ちょ、やめっ……いいだろう。淫魔かどうか確かめてやる!」


「きゃっ、ご主人様のけだもの〜」


 そんなことに1日費やすのもどうかと思い、抵抗しようとするも、結局ヤル気にされてしまい襲いかかる舞夜。

 それに対し、アリーシャが嬉しそうに批難の声をあげる。


 毎日繰り返す、このやり取りに幸せを感じながら、舞夜は思い出す。


 彼女との出会い、この世界へ転移して来た日の事を——。

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