第21話

また,城内廊下か.

これは,先ほどの…

コウの姉君か.

蝙蝠族特有の銀の髪に赤い眼,透けるような肌,赤い唇.

コウと…

コウとそっくりだな.

双子か.

楽しそうに話しておる.


前から来るは,私とタカか…

私も黒髪,黒い眼,白い肌だ.

目も角も黒曜石のようだ.



!!!

…私は,この記憶を覚えておる.


あれはコウの姉であったか.


タカは途中で

「暴君.」

とつぶやき,その場を去った.


チビは,

チビは…

私の子であったか.


あの時,私は…

「地獄の谷に,捨て置け.」

と言い,離れた.


悪魔だな.

いや,悪魔か.

悪魔の王か…


あちらに光る記憶があるな.


あぁ,

あれは…

父と私の戦いだ.

族長争いを,コウも見ていたのか.

久しぶりに父上を見た.

父上に対して,こやつ幻影や魔封じを試みた.

弾かれておる.

1対1に手出しは無用,不可能である事を知っておるのに.


父上は私が息の根を止めた.

掟には逆らえない.


あれは,タカか.

タカが,魔王の座を奪いに来る奴らと闘っておる.

なぜ…

コウも,そいつらに幻影や魔封じを使う.

まだ,血の主従関係も結んでいないはず.

なぜだ…


あぁ…

魔力の消耗が激しい.

戻ろう.



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