第22話
はぁ…
あれは,私の子か.
「コウ.」
「何か.」
コウは返事をした.
「あれは,私の子だな.
なぜ,地獄の谷に捨て置かなかった.
母ごと…」
私も悪魔だな…
だんまりも無理はないか.
「あいつの魔力を戻せ.
戻せるはずだ.
お前の記憶を操作した者がおる.
誰か記憶にないのか.
魔封じをした者を殺せば元に戻るのであろう.
だが,そなたを手にかけたくはない.
穏便に致せ.
蝙蝠族を根絶やしにするか.」
「すれば良い.
そもそも,魔王様に忠誠を誓った身だから.」
コウが口を開いた.
生意気な…
「記憶もろとも墓場まで持って行くつもりだった.
あの時,姉は繁殖期だった.
繁殖期と分かって,この城に来たんだ.
喰われる奴が悪いとは言いたくないが,
彼女にも野心が透けて見えた.
私も姉も,あなたに魅せられたのだ.
あなたに囚われたのだ!
私も…
あなたの子が見たかった.
我が一族とあなたの子が!
こんな事になろうとも,地獄の谷に捨て置かなくて良かったと…
思ってるが…思ってはいるが…
あなたの意に背き動き続けねばならない心苦しさも,ずっとあった.」
「ならば,なぜ話さぬ!」
「これが話せる内容とお思いか!」
コウが燃えるような目で見る.
「あの記憶,身に覚えもある.
コウが女を伴って,城内を歩く時.
この後,大切な者と紹介すると思った.
聞きたくなかった.
手折って捨ててしまおうと考えた.
悪魔だな.
もう良い.さがれ.
追って処分を伝える.
身体が回復したら,タカとチビを呼び戻せ.
少し休む.」
寝室へ移動した.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます