第18話
「タカ!
朝食の後,クチバを里に戻してやれ.
タカは,すぐに戻ってこい.
クチバ世話になったな.
鷹族の郷土料理は旨かった.
チビも礼を伝えておけ.」
「ははっ」
とタカがいう横で,クチバが深々礼をしたのが見えた.
チビが駆け寄り,クチバの足に抱き着いた.
「立派に大きくなりませ.」
と声を掛けられていた.
コウも
「お疲れ様でした.」
とクチバに声掛けしていた.
「コウ!
何か私に申す事は無いか.」
と言うと,
「ございませんが.」
と言うので
「そうか.」
と答えた.
タカが戻っても,する事は山積みだ.
「只今戻りました.」
とタカが言う.
「何度も悪いが,チビを連れて,鷹族でしばらく過ごして欲しい.
あいつは私の使い魔を持っておる.
もし,それが動かなくなったら,チビを蝙蝠族に連れていってあげて欲しい.
チビはコウが大事にしておったようだ.
コウも無事で済むか分からん.私は手加減が,自制が効かないかもしれん.
城が空いたら,お前は戻ってくるな.
鷹族を守れ.」
タカは黙った.
黙って,魔力を城の結界に注いだ.
「何か知っておったな.」
「思う所はありましたが,確信が無い事は申せませぬ.」
と口を開いた.
「魔王様が,この者を守れと言うのであれば,
鷹族は誇りと命を懸けて守り抜きます.
あなた様には,この世界にいて欲しいと願います.」
とタカが言う.
「長きに仕えてくれた.」
「チビ.これから,お前はタカの故郷,鷹族の里へ行く.
鷹族は武術の達人だ.しっかり励め.無駄な時間は無い.」
チビが
「魔王様をいたわる.」
と言った.
ふふっと笑えた.
「もう良い.お前たちは行け.」
行ったな.
知らぬは魔王だけか…
迷いの森は抜けられても,城の中で1人彷徨い続けておる…
さぁもう一仕事ある.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます