第17話
記憶を覗くと,魔力の消耗が激しい.
早目に戻らぬと戻ることが出来なくなる.
―
先ずは…
言葉を教わっておるな.
誰だ.
何やつが教える.
幻影を使いながら教えておる.
蝙蝠族の誰かか.
なぜ,正体を隠す.
ほぉ.
狼を食っておる.
あれは,乳兄弟か.
育ての母も狼か.
育ての母狼も食ってるな.
確か,狼は人狼族の眷属だ.
人狼族は,茶色い巻き毛で赤い眼,肌は褐色だ.
まさか食べられるために差し出さないだろうから,
人狼族は無関係か.
生きるためには戦いだ.
チビは,なかなか力があるのかもしれんな.
ママ,ママ言う日もあるな.
『そなたの母は使い捨てだ.』
それを言う者は…
コウだ.
仮面で顔を隠しておるが,
銀の髪・赤い眼,そしてあの声…
なんという事だ…
蝙蝠族は吸血族と懇意にしているという…
チビは吸血族なのか…
これは,生まれてすぐの記憶だな.
…なんと…
魔封じを施されておる…
手袋を外して行うあの動き…
魔力が吸い取られ別な場所に移動される.
なぜだ.
もうそろそろ戻らなければ…
はぁ…
物凄い疲労感とダメージ.
あやつが,
コウが何かを隠しておる.
隠し事は裏切りだ.
裏切者め.
なぜ裏切った.
お前を噛み殺したくはない…
ただ悠久の時を共に過ごしたかっただけなのに…
なぜ伝わらぬのだ…
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