第9話
「迷っておるのか.」
声をかける.
迷いの森にいるとは…
気が付き,膝をつくのはコウだ.
「戻らぬから探したぞ.」
「申し訳ありません.
御自ら勿体なき.」
とコウが返事をする.
「こちらの小さき子は城へ移した.」
と話すと,
「何の事でございましょうか.」
とコウは言った.
解せぬ.
言葉通りか.
「タカが発見し持ち帰った.
ここは何もない森ゆえ,手引する者がおるようだ.
言葉も教えたと言う.
出自と手引する者が知りたい.
知恵を出せ.」
「御意.」
とのみ.
顔色も変えず,何とも判断しがたいな.
「里も気が休まらないので,こちらで気休めをしておりました.
ご迷惑をおかけしました.」
とコウは言った.
「それは…」
なぜか聞こうとしたが,色々あるのであろう.
迷いの森で散歩をしたいのは俺も一緒だ.
「コウもおるため,安心して散歩が出来る.
良い時に私も来た.」
と話すと,コウの表情が緩んだ.
木漏れ日を楽しみながら,ゆっくり歩く.
少し眠たくなった.
結界をはって,少しウトウトしよう.
気を張ってドーム状のものを作ると,
コウが割った…
コウが割った?
割った!?
「ぅうおい!何で割るんだよ!」
「もう帰ります.魔王様の口ぶりではありませんよ.」
コウが言った.
はぁ,がっくりだ.
うぅ…
ウトウトしたかった…
使い魔が騒ぐ様子も無いので,
俺のベットを占領した小さき子が眠っているのであろう…
はぁ…
なぜ俺が我慢せねばならぬのだ…
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