第8話

「森に誰かが来ていたのか?」

と聞くと,

「男の人が.」

と小さき子が言う.


ほぉ.

そやつが何か出生を知っていそうだな.

魔力は無さそうなのに,

魔語を話し,俺があの時のネコと分かる.

不思議だ.


コウが帰ってきたら,どう詰めるか話をしよう.

何か妙案が湧くかもしれないな.


色々考えあぐねていると,

小さき子が床で寝ていた.


森の土の上で寝ていたのであろうな.

1人で.

永い時を.何度も.


まだ,何も準備が無い.

俺のベッドに寝かせるか.

抱えても起きるそぶりが無い.

何とまぁ無防備な.

今,し返すか.

ふふふ,そんな悪趣味は無いわ.


起きたら知らせるよう使い魔を置こう.


タカが,タカの母を連れて戻ってきた.

適任だ.

多分…


挨拶もそこそこにして,

「空いてる部屋を片付けて,小さき子が過ごせるように準備してくれ.

必要なものは買いそろえてやってくれ.不足無きよう.」


「かしこまりました.」

と言い,足早に消えていった.


なるべく早く…

俺の寝床がないから…


コウが帰ってこないな.

報告も伝令もない.

ふむ.

実力は信じておるが,様子がおかしかったし,

見に行くか.

それとも,タカを使いにやるか.


…タカの母と準備をする事になっても,

何だか面倒だな.

城は,タカに任せて,様子を見に行こうか.


「タカ!城は任せた.

コウが戻らぬので,見に行く.」

心配そうではあるが,

「かしこまりました.」

とタカは言った.





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