第5話

玉座につこうが,ウロウロしようが,

本当に…

暇だ.


コウもタカもいない.

つまらぬ.


1日置きに報告を義務付ければよかった.

期間を決めておくべきだったか…

迂闊.


近付く者がおるな.

コウか.


「只今戻りました.」


「早かったな.」

と声をかけると,

「この者でしょうか.」

と空間より,子どもを引き出す.


そういえば,コウは肉体労働には向かないな.

参謀,ブレーンタイプだ.


どれ,う~ん,禍々しさが足りぬな.

震えておるが,あやつは震えるようなたまでもないように見えた.

そして,こやつは醜悪だ.


「似ても似つかぬ.元にでも捨て置け.」


コウは何とも言えぬ顔で,一瞬こちらを見た.

すぐに表情は戻ったが,何だ,この違和感は.

俺の言葉に反応し,何かを知っていそうであったが…

違う者を連れ来る.


記憶を覗くか.


いや…

コウには手を焼いた.

迂闊に手出しするのも難儀だな.


「隠し事は身を亡ぼす.

裏切るな.従え.」


かしこまり動かぬか.


「他に報告は.」


「魚人族,吸血族に置いては,魔王様に忠誠をという事でございました.」


ほぉ.


「手足を増やしても良いかもな.城に仕える者を増やすか.

城内で順位付けの殺し合いだ.」

笑いながら話すと,

「お戯れを.」

とコウが言う.


なさいますかか,過ぎますか図りかねるな.


「もう良い.タカも戻らぬ.

持ち場に戻れ.」


「御意.」

と言い,子どもを亜空間に押し込んで,飛び去った.


…あぁ,つまらぬ.

視察は俺自身で行く事にするか,

城に仕える族長を増やすか,

何か考えるべきだな.





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