第4話

「コウ!タカ!」


「お呼びでしょうか.」

コウとタカが空間よりやってくる.


「最近,あちこちが不穏だ.

視察をお願いしようと思う.

先の戦いで勝ち残った2体の力を見せつけてやれ.

北と南から分かれて,それぞれの種族の様子を確認して欲しい.

逆らう種族がいたら,息の根を止めろ.

自分の種族で,のんびり休息も結構.

あまり長居はしないようにしろ.」


「御意.」


「あ~あと…その,なんだ…」

コウもタカも何を言い始めるのかと目が死んでいる.


「歳は400~500歳くらいの黒髪で黒い眼の女児が

1人でいる所を発見したら生きたまま連れ帰れ.

気になる事がある.」


少し意識の揺らぎを感じた.

どちらだ.


「何事かありましたでしょうか.」

コウが言うので,

「良いな!?」

と言うと,

「ははっ.」

と返事をし,蝙蝠の姿になって飛び立った.


「北から行ったっぽい.では南から.」

とつぶやきながら,タカも鷹の姿になって飛び立った.


あの娘,気になる.

何もできぬネコといえども,やられっぱなしでは魔王の名が廃る.

指の一本力をこめたらどうなるのであろうぞ.

泣き叫ぶ事にならぬと良いが.

魔族は100年に1歳程度の歳を取り,長命だ.

延々と永い時を生きる.

楽しみは見つけて,粛々と楽しむ方が良い.

身体もなまってくるゆえ,挑む族長を物言わぬ形で種族に返すのも一興か.


ちょっと今日は,ばっちり魔王様キャラ決まってる.

あぁ,報告が待ち遠しい.

1人で退屈であるな.



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