第3話
コウは,蝙蝠族の族長だ.
蝙蝠族は,幻影と魔封じを得意とする.
銀の髪に赤い目,透き通るような肌,黒い手袋が似合ってる.
タカは鷹族の族長だ.
鷹族は,素早い動きで肉弾戦を得意とする.
茶色い髪に茶色い目,日に焼けた肌,上半身は筋肉隆々の裸しか見た事が無い.
対照的な2人.
両腕だ.
魔王は決まりが無いけれど,入れ替わりはある.
族長決めも魔王決めも決め方は,
もう,シンプルで,一番強い者が立つ.
力が満ちたら,一番上を狙って戦い入れ替わる.
生きるか死ぬかしかない.
此度は龍族の族長争いに乗じて魔王争いも一緒に勃発した.
だいたい,炎と氷が操られる龍族の族長が魔王となる例は多い.
ただ,どちらかしか使えない,もしくはどちらも使えない族長が誕生すると
下手こいて,一角族や猛獣族に魔王の座を譲る代もあったようだ.
俺にとっちゃどうでもいいけど.
どっちも使えるし.
どの族長も誇りを持って最期まで命を懸けて戦った.
最後まで立っていたのが俺.
その前に倒れたのがコウ.
3体の中で一番早く倒れたのが,タカ.
コウもタカも瀕死な所でお互い死ぬまで逆らえない主従契約を結んだ.
だから,あいつらは,頭の先から爪の先まで,全部俺のものだ.
一族,もろとも.
巨人族や一つ目族も最近,族長の入れ替わりが激しいらしい.
活発という事は力をつけてきているのだろう.
族長は俺を狙ってくる.本気で魔王の座を奪いに.
だから,コウもタカも,むやみに城外を出歩くなと言っているのか.
力で押さえつけている分,力が曇ると失脚だ.
勢力図が変わると,コウやタカならず,一族全体が危なくなる.
魔王争いで族長が死んだ種族は,世界の片隅に追いやられる.
弱い者は搾取される.
分かるけれど,俺は龍族なんてどうでも良いし,
何かを守ろうとすると力が削がれるから嫌だ.
死ぬのはごめんだ.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます