第9話 愛が増えると想いが深まる

おうちデート当日


角谷の手が美羽の手を強く

固く手は握られている

絶対に逃げないように…なのかな

やっぱりこれって…



「なんか緊張してきた」

「…うれしい」

角谷は顔色は変えずに言葉を伝えている

相当、、緊張しているのか

必死に顔色出さないようにしている


「俺は狭い空間で

捕って強引に食ったりしないよ」

耳元で囁く


「えっ…」

美羽は心臓に杭が打ちさすように

ドキッとする


「(先輩のあの観覧車の出来事を何処かで見ていたの???)超能力者なの?」

角谷から3歩くらい後退した

手は固く握られているから

遠くには逃げられなかった


「さぁ?内緒」

いじわるっぽく笑う


急に角谷が立ち止まる

子供たちが園内を遊び回る幼稚園

親の来る子は静かに校門で待っている


「子供って可愛いな、

いつもここで見ていて飽きないんだよ」

美羽に微笑みかける

「俺、子供好きなんだ」

「うん可愛いね、無邪気で純粋なところも」

美羽も角谷の言葉を重ねてみる


「俺は早く家族が欲しい…」

角谷は幼稚園で無邪気に遊ぶ子供達を見ていた

「だから俺は進学しないで地元で就職しようと思う」

美羽は息を呑む

その先に来る言葉が気になる

もし叶うのであれば

その先に私が存在してるのかな…


角谷のマンションの扉の前

女性が立ち止まっていた

「誠その方は?」

「同級生の君島美羽さん」

「君島美羽です、よろしくお願いします」

美羽に手を頑なに離さず繋いでいる

「はじめまして、誠の母です」

肩先まである髪に少し巻毛を後ろで宝石が散りばめられたバレッタで纏めている

年齢を感じさせない肌色と角谷に似て

整った顔立ち

上品な浅葱色のスーツを着ている



「大事な話をするためにきたのよ」

「俺には話す事は何もない」

角谷は顔を背ける

「お父さんの会社は必ず継いで貰わないと困るの、大学の手続きもあるからまた機会を改めるわ」

母親は困ったような顔をしたが数分経つとすぐ表情が戻る

「お父さんにはお母さんから話を取り繕ってあるからいつでもサンフランシスコの家に戻ってきなさい」




彼の母親のから出た言葉が

ナイフのように美羽の胸を切り裂いた







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