第2話 猟師からの手紙
私の兄は城にも出入りしてる猟師だ。
王女様に呼ばれる時や、城の周りに危険な動物が出る時に備えて城の中に住んでいる。
家族に仕送りや、獲物の毛皮なんかを手紙と一緒によく送ってくれる。
私は兄からの手紙をいつも楽しみにしていた。
お金や、贈り物よりも手紙のほうが楽しみだった。
兵士さんたちと一緒に大きな熊と闘ったこと、城のパーティーで食べた美味しいミートパイのこと、可愛らしいお姫様のこと。
村に住む私にとっては刺激的で、面白い話しばかりだった。
ある日いつものように家に手紙が届いた。
両親に聞くと、兄からではなくお城からの手紙だったらしい。
兄が家に帰っていないか、帰ってきたらすぐに城に知らせるようにとの手紙だった。
兄は家には帰ってきていなかった。
それから何日かすると、今度は兄から手紙が届いた。
「王女様の命令に背いてしまった。城の仕事は辞めて今は身を隠している。迷惑を掛けたくないのでそちらには帰らない。お元気で。」という手紙だった。
もう兄に会えることはない。
悲しむ私を両親が抱きしめてくれた。
両親の頬も濡れていた。
それからまた何日か経って、姫様が王子様とご結婚されたというめでたいニュースが飛び込んできた!
兄の手紙に書いてあった可愛らしい姫様のご結婚が嬉しかった。
家族で久しぶりに笑って話していると、ドアがノックされた。
もう兄からの手紙は来ないという嬉しいニュースが飛び込んでくるのを、両親も私もまだ知らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます