第七話
富谷君には昼休み届けに行こう。
そういえば、あの人何組なんだろう。
同学年ってことしか知らないしなぁ。
こういう時は…
「紅葉、富谷君って何組だったっけ?」
紅葉に聞くに限る!
「富谷くん、朔くんと同じクラスのはずだから、確か10組だったはず!」
「流石紅葉!おっけー、ありがとう」
「ふふ、イケメン情報はお任せあれですよ」
紅葉は自慢気な顔で鼻を鳴らしている。
「でも汐音気をつけてよ?10組の男子どもに襲われないようにね?この学校の女子は比較的理解良い方だから大丈夫だと思うけど…
私ついて行ってあげたいけど、余計悪化させるだけだしなぁ……」
「何今更そんなこと言ってんの!大丈夫大丈夫、散々この学校で揉まれ慣れてますから」
「そういうことじゃなくて!汐音みたいな美女が富谷くんみたいなイケメンと絡んでたら男子どもが嫉妬しないわけないでしょ!人気的な絡みじゃなくて嫉妬的な絡みを心配してんの。
私はもう朔くんいるから大丈夫だけどさ、汐音のことは私じゃどうにも出来ないもん」
あ、確かにそっちのことは考えてなかった…
「まあ、なんかあったら自分で何とかするからさ、心配しないでよ」
「もう、そんなこと言って、、なんかあったら言ってね、朔くんもいるから相談してよ?」
「わかったわかった、大丈夫だから」
ほんと紅葉は大袈裟なんだから。
でもまあ、一応気をつけておくとするか。
――キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン……
やっと午前中の授業が終わった。
ガタガタと席を立つ音がして、皆はあっという間に学食へ行ったり、お弁当を広げたりしている。
私は座ったまま、くー、っと伸びをして、鞄へガサゴソ手を突っ込み、重たい保冷バッグを抜き出す。
その中から茶色い紙袋を取り出して、ラッピングされた袋が中に入っていることを確かめる。
よし、ちゃんと入ってる。
「汐音、ご飯食べよー?」
いつものように紅葉が私の席の方へ来て、そこら辺の机を拝借し、私の机とくっつける。
「ごめん紅葉、私今日これ届けてから行くから、先食べててくれる?一人じゃ寂しいだろうけど、ごめんね」
「あ、そっか。ううん、大丈夫、気にしないで!」
「ごめんねぇ、食後のデザートあるから許して!」
「よっしゃ、期待してる!頑張ってきなよ!」
やっぱり紅葉は優しい。
いい子すぎて泣けそうだ。
「うん、頑張ってくる」
「よし、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
私は意気込んで富谷君のクラスへと向かった。
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