第四話
・・・
ん……あれ……
ここ……
………保健室………?
よく状況が読めない中で、頭を整理させて考える。
んーー私、確か、移動教室に向かう途中で、中庭歩いてて、具合悪くて倒れたんだっけ……?
そしてなんか布団が重いような……。
重さのある方へ目を向けると、そこには、、、
布団に突っ伏して眠っている、富谷遥樹、がいた。
富谷遥樹………?
…………なんで??
なんでこのイケメンさんがここで寝てるんだ………?
考えるなら、ここまで運んでくれた、ってことしかないよなぁ……?
そうだとしてもそうじゃないとしても、ここにこのまま寝かせておくわけにはいかない。
取り敢えず起こすことにした。
富谷遥樹がここにいる理由も、起こしてから訊けばいいだろう。
寝ている富谷遥樹の背中をつんつん、とつつく。
だが、んぅ、と言いながら身じろぎするだけだった。
流石にこれじゃあ起きないか……
ろくに話したこともない人にあまりに触れるのは申し訳ないので躊躇っていたのだが、起きないのなら仕方がない。
軽く肩に触れて揺らし、声を掛けてみる。
「もしもーし……起きてくださーい?大丈夫ですかー?」
……………起きない。
心配になって顔を覗き込む。
「起きてください?」
軽く肩を揺らしながら言うと、薄く目を開けたのがわかった。
「あ、よかった。起きた。」
「え?」
富谷遥樹が体を起こしながら惚けた声をあげた。
「うわぁ!お、起きた?」
いきなり声をあげるもんだから、体をビクッと震わせてしまった。
「えっと、起きました。」
「あっ、じゃあ、俺はこれで。」
「ちょっ、待って!えっと、ありがとう!運んでくれたんだよね?」
すると、少し驚いたような顔をして固まってしまった。
私はどうしたのかと不思議に思い、首を傾げる。
「偶々通りかかって、倒れてたから」
「うわぁ……ほんとごめん…ありがとうね」
「いや、全然、じゃあ、」
「な、何かお礼!」
「いらないよ、大丈夫」
そう言われながらも、ポケットをガサゴソと漁る。
確か、飴ちゃんがここに……
「あった!はい、これ、全然足りないけど、お礼です。迷惑かけてごめんなさい」
ポケットに入っていた数粒の飴を差し出す。
「いいのか?」
「うん、寧ろ貰ってください。」
「そっか、ありがとう」
言うと、俯いて微笑みながら、素直に受け取ってくれた。
うわぁ、やっぱイケメンさん…。
「じゃあ、俺はこれで。」
「うん、また。」
富谷遥樹はそう言って、静かにここを出ていった。
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