第三話

 ・・・


 今日はとても天気がいい。

 教室を出て、廊下の窓に凭れて流れる雲を眺めていた。


 こういう日は外に出て散歩でもしたくなるよなぁ。

 ……よし。今日の昼飯は朔でも誘って中庭で食べるとするか。


 そう考えて、ふっ、っと中庭を見た矢先だった。


 一人の影が見えた。


 …………あれ、長谷川だよな……?


 うん、きっとそうだ。歩き方がそのものだ。


 だが、どこか様子がおかしい。とても辛そうに歩いている。


 具合でも悪いのか?


 俺は心配になって、そのまま長谷川を視線で追いかけていった。


 そして、ふらふらとした足取りで、植木の影に入っていく。


 おい、あいつ本当に大丈夫か……?


 暫く様子を見ることに決めるが、どうも心配でいてもたってもいられない。


 数十秒もしないうちに、植木の影からは腕がばさ、っと倒れたのが見えた。


 ……っ!あいつ、倒れやがった。


 今長谷川がいるのは中庭だ。しかも、植木の影。もうすぐ授業も始まるだろうから、中庭を通る人は少ない。まして、授業が始まったら誰も通らないだろう。その環境で植木の影だ。すぐ見つかるわけない。


 そう考えたところで、教室へ走り、扉を勢いよく開け、言う。


「朔!俺、これからサボるわ!!」


 大声でそう言い、走り出した。


「えっ、ちょっ、遥樹!!?」


 教室からはざわざわとどよめく声が聞こえてくるが、お構い無しだ。


 幸い、もうすぐ授業が始まるので、廊下に人はいない。


 全速力で駆けていく。


 俺は、ただただあいつが心配で堪らなかった。

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