リプレイセクション
セッションの開始、キャラクター作成
※このセッションはフィクションです。実在の人物、団体などは登場しません。
チャットルームに2つのアカウントがログインしている。片方はデフォルトアイコンを、もう片方は肉食恐竜の頭骨を黒地に白で描いたアイコンを使用している。
「今回はテストプレイに付き合っていただき、ありがとうございます」
と、デフォルトアイコン。
「良いってことよ」
恐竜アイコンが応じる。
「それでは、ダブルクロス The 3rd Edition 『Clown of Thorns』を開始します。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「それでは確認済みとは思うけども、お約束として、まずはトレーラーを」
―――
去年と同じ今年、先月と同じ今月。
そして昨日と同じ今日、ずっとその繰り返しが続けば良い。
そんな願いを道化師の仮面が嘲笑う。
恐怖と悪意に潰されそうな心は仮面の下で泣くばかり。
ダブルクロス The 3rd Edition 『Clown of Thorns』
―――
(拍手)
「そしてこちらがハンドアウト」
―――
●PCには以下の設定がつく。
○PC1:UGNイリーガル。鳴海向日葵、伊達竜平と付き合いの長い友人。
●PC1用ハンドアウト
ロイス:鳴海向日葵(なるみ・ひまわり) 推奨感情:友情/不安
推奨クイックスタート:不確定な切り札
推奨コンストラクション:白兵型(エンゲージすり抜け可能)
推奨カヴァー/ワークス:高校生/なし
君はN市公立高校に通う高校生だ。鳴海向日葵とは付き合いの長い友人――なのだが、1か月ほど前から彼女の様子がおかしい。クールなフリして寂しがり屋のくせに、明らかに君を避けているのだ。噂によると君だけでなく、他人全てを避けているらしい。
何か言いたげにも見えるが、話してくれない。聞き出そうにも逃げられてしまう。
どうしたものかと思っていると、戦友のUGNチルドレンで射撃の名手、伊達竜平が事件の話を持ってきた。
―――
「オッケー、再確認した。それで、推奨クイックスタート通りに、不確定な切り札を使おうと思うんだけど、ちょっとアレンジしたい」
「どんな風に?」
「《剛身獣化》を入れて、こう、ゴジラ的な、恐竜感のある怪獣になるキャラにしたいんだよね。ただ、どのエフェクトと入れ替えたものか、迷う」
「それなら、入れ替え候補は《完全獣化》かな。ダイスは十分な数があるキャラクターだし、獣化エフェクトでもあるし」
「んー、そうするかぁ、レベルも《獣の力》に割り振ってる分を《剛身獣化》に入れた方が装甲値の分だけお得だな……ちなみに、フルスクラッチしたらダメ?」
「申し訳ないのですが、今回は、とりあえずルールブック1だけ買ったってプレイヤーの参考資料にしたいので無しでお願いします」
フルスクラッチのルールは、ルールブック2に掲載されている。
「了解。それじゃあライフパスは、振ってみよう。偶然に物語を見出すのが好きなんだよね」
ダイスロールの結果、出自は『兄弟』、経験(学生)は『大きな転機』、邂逅は『好敵手』、覚醒は『償い』、衝動は『恐怖』と出た。
「……見えたわ。こいつには弟がいて、血が繋がっていない」
「なんと」
「大きな転機として、両親が離婚していて、弟は親父の再婚相手の連れ子だ」
「なかなかハードな家庭だなぁ」
「それで、邂逅の対象に書いてある
「防衛隊の対レネゲイド部隊、ストレンジャーズの新しい隊長さんですね。レネゲイド事件に対する冷酷かつ暴力的な対応で有名」
「こいつ軍人とライバルなの!?」
「怪獣だし、ちょうど良いんじゃないかな?」
「確かに! ゴジラの日本軍も防衛隊だしな。怪獣の本能が防衛隊を意識してしまうのか。じゃあ、感情は懐旧と、憤懣で、憤懣を表にしておこう。本能的な怒りの中で、俺たちは、前にもこうして、戦っていたような? と思っている」
「レネゲイドを通じて怪獣たちの記憶が流れ込んでいる……」
「そういうことで、よし、覚醒に行こう」
「償いでしたっけ? 何を傷付けたんだろう」
「家庭環境的に、やっぱ傷付けたのは弟かなぁ。こう、親父の再婚がやっぱ面白くなくて、家に帰らないとかやってたんだよ。
でも弟の方は、何故か懐いてて、兄ちゃん兄ちゃんってくっついて来るわけ。それをうるせぇなぁって無視したある日、後ろで急ブレーキ音が」
「ここで死なせてタイタスを確保する気か!?」
セッション中にロイスが次々に死んだり裏切ったりするような事態は、そうそう発生しないので、その辺のNPCに対して取得したロイスを単純にリソースとして消費するという形になりがちである。
パーソナルデータに絡めて、キャラクターの過去で事件を起こすことで、ドラマチックに生成したタイタスを使ったという、小さな喜びを得ることができる小技である。
「死んでないよ! まぁタイタスにはするけど。
その時は、ちょっと驚いて転んだだけだった。でも、振り返った時、尻餅をついた弟に別の車が接近しているのを見てしまうんだよ」
「なんてこった」
「人間の力では絶対に間に合わないのに無我夢中で手を伸ばし、それが何故か届いた次の瞬間、こいつの意識は無くなって、目覚めたら病院のベッドの上で、家族ではなく、UGNの皆さんに囲まれていたのだ。
それ以来、こいつと弟の関係は、お互いに何かモヤモヤしたものを抱えた微妙な距離感になっている」
「微妙なんだ」
「助けてくれたとはいえ、兄ちゃんが目の前で怪獣になったんだぞ」
「あぁー、記憶処理とかされてなくて、胸に抱えている感じなんですね」
「そう、混乱してよくわからないって答えたせいで、下手に処理するより、動転して幻覚を見たという方向で調整しようと判断されている。感情は幸福感、嫌悪だったものがタイタスになった」
「幸福感があったのかぁ」
「弟ができて嬉しいという気持ちも、無いわけではなかった。いずれは感情の裏表が変わっていたのかもしれない。しかし、今やその関係は、大分変わってしまった。というわけでタイタス」
「なるほど。大きな転機のロイスも弟になっちゃった感じですが、大きな転機の推奨ロイスになってる幼馴染はどうします?」
「あー、ハンドアウトに付き合いの長い友人って書いてあるし、今回のシナリオロイスということで……いや待ってくれ」
キャラクター作成時にシナリオロイスを固定ロイスの中に入れてしまうと、出会う人物が案外少なくて、ロイスの枠が余ってしまい、どう埋めるか悩むという事態に陥る事がある。
立ち位置が被るとかそういうことは気にしないで設定することをオススメする。
「こいつには、ちょっと年上の……
「人生ができてきましたね」
「うむ。衝動の恐怖は、病気の発作だから適当で良いか」
衝動はレネゲイドウイルス由来であり、人格とあまり関係が無い。毒薬で精神錯乱を引き起こすようなものと言えば近いだろうか。もちろん、元々の恐怖症や気質が悪化する、というような形で関係させても良い。
「何が怖くなる、みたいなのとか、設定は色々できるんじゃないですか?」
「それもそうだ。それじゃあ……環境破壊が怖くなる。突然、汚染される海とか、崩れて消える山のイメージが襲いかかってきて、言葉にできない恐怖を感じる」
「そしていつか、傲慢なる人類に裁きの炎を浴びせると」
「そうそう……よく考えたら、それジャーム化してねぇ?」
「確かに」
「かなしいなぁ。それは一旦置いておいて、名前を決めるか。名前は……
「ストレートにゴジラで良いのでは?」
「サイズ感が足りないから、それはちょっと恐れ多い……核の落とし子、人間が生み出した恐怖の象徴……ネメシス! 傲慢に対する神罰、これだ!」
かくして、キャラクターは完成した。
―――
【名前】
【コードネーム】
【シンドローム】キュマイラ
【肉体】8【感覚】1【精神】1【社会】2
【HP】37【常備化】4【財産】3【行動値】3
【侵蝕率基本値】35
【技能】
〈白兵〉4〈回避〉2
〈知覚〉1
〈RC〉2
〈情報:噂話〉1
【エフェクト】
《コンセントレイト:キュマイラ》2(R1:169)
《獣の力》1(R1:123)
《破壊の爪》1(R1:123)
《ハンティングスタイル》1(R1:124)
《剛身獣化》3(R1:125)
【一般アイテム】
コネ:噂好きの友人(R1:179)
【ロイス】
幼馴染:アン姉ちゃん 感情:【慕情】/不安
好敵手:
空欄:4
【タイタス】
弟:
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